チョコフレークが生産中止に追い込まれた件

森永製菓の大ヒット商品「チョコフレーク」が、2019年以降、順次製造を中止するらしい。


「あの大ヒットど定番製品がなぜ?」

と思った人は多いのではないでしょうか。

私もその一人。


理由は売上が激減しており、およそ半分近く。製造流通を考えると、殆ど利益を出せていないような状況だったらしい。そう言われてみれば、最近はコンビニで見かけるのも「コンビニブランド化(OEM)」した商品ばかり。ローソンセレクトのお菓子の中にチョコフレークがあったりする。それでいて、スーパー等の販売店で見かける機会が少なくなった気がする。


調査の結果、明らかになった理由というのが、いかにも現代的。


「スマホと相性が悪く、売上が低迷していた」


チョコフレークは手でつまんで食べるタイプのお菓子だったため、スマホを操作しながらの「ながら食べ」に相性が悪いとのことだった。確かに、温度によってはかなりベタつくし、チョコレートは油分を含んでいるから、付着した汚れも取れにくい。自ずと選択肢から外れ、販売数が低迷し続けた、というのだ。


スマホ普及率が世界水準で高い日本にとって、これは由々しき事態だ。

現状ではギリギリ、というラインでも、今後ますます販売数が減っていく可能性はある。


森永製菓もやむなく、と言ったところなのでしょう。



そこで私は思ったのです。

「じゃあ湖池屋スコーンはどうなんだ」と。


私達が学生の頃、なけなしの金をそれでも友との語らいの時間へと変換する為、そこかしらで宅飲みが横行していた。流行、じゃないところがまたポイントだ。


そんな場所で、この湖池屋スコーンはど定番に大活躍だった。

食べやすい大きさ、酒にあう濃いめの味付けとスパイス。腹に満足感を与えてくれるボリュームと、安心の価格設定。今でも、缶チューハイとスコーンの組み合わせは美味しいと感じる。


そこでいろいろ調べてみたのだが、スコーン自体は一定の人気をキープしているらしい。

しかしでは会社自体はどうなのかと言われれば、そんなことは無かった。2016年に菓子製造業者同士で大規模な経営再建が行われており、そこに湖池屋の名前があった。スナック菓子製造メーカーはどこも苦しい情勢というわけだ。


聞こえてくるのが、「スナック菓子を好んで消費してくれる若者層の減少が大きい」との声。


その昔は、大手企業などは「終身雇用」と銘打って、優秀な人材を、とりわけ大学卒業新社会人を囲っていた時期もあったというのに。盛者必衰とはこのことなんだなぁと思う。

グローバリズムによって肥大化をし続けた会社は、今や若者の減少によってどこもかしこも人手不足、今や空前の売り手市場になっている。縮小しようにも、一度広げた風呂敷はしまえないという日本独特の風土によって、薄利経営を続けなくてはならない企業達。

一方で売り手の若者達も、面接先の会社を信用していない。将来性よりも、現状提示できる条件のいいところを選んで就職していっている層もかなりあると聞く。確かにそうだ、数年後に生き残っているかどうか確約できない状況なのに、「初任給はこれだが、二年後の役職変更で条件がこんなに良くなる」と言われて、誰が信じるのか。最初からその条件を示せない時点で、会社としての体質や体力が透けて見える。

売り手にしても、今や多くの会社に就職できるし、好条件のバイトだって揃っている。嫌なら辞めても、他のところでいくらでも働ける。その中で、自分の能力を活かせる環境を見つければいいのだから。その方が結果的に、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)は向上するし、成果も出せば、最終的な給与も上向く。


それじゃなくとも、最近の会社が提示する給料というのは(外資は除く)安い。世間での全世代年収の平均が400万円らしいが、年収としての最低ボーダーは決まっていて、天井はかなり高い訳だから、ピーク層でみると、300万~350万円というのが実際だと思う。

今やスマホなど、若者の生活に必要不可欠な固定費が増えている。若者が若者らしく生きていく為に必要な経費は増え続けているのに、給料は増えていない。社宅も減少し、家賃負担も無視できない。若者の車離れが深刻だと言うが、そんな状態で新車を安安と買えると思っているなら、ジャーナリスト達の多くはもう一度極貧学生時代からやり直した方がいいだろう。


世間は若者をないがしろにしている。一部の層は「甘やかしている」というが、今後の社会を支えるのは間違いなく若者だ。若者が自身のQOLを追求しつつ、仕事に活力をもって取り組み生産性をあげなければ、日本の未来は明るくならない。

給料が安い、保育園に子供を預けられない、親の介護が必要、人手不足で有給取得すらままならず、福利厚生は最悪。飲み会は誘うクセに奢らない上司。やる気をもって働けという方が無理だ。


時代は変わっていっている。サマータイムがどうだ、不倫がどうだ、不適切発言がどうだと、くだらない論争を繰り広げている政治家達には、いまいちど、本気でそれらを考え、なんならその生活を体験して、語り合ってもらいたいと思う。

対立意見によって、国会をボイコット、一日で数千万円の人件費を溶かすなど、無駄なことは避けてほしいと思う。


そうすれば、チョコフレークはなくならなかったかもしれないのだから。



(ものすごくスケールの小さい落ちでした。)



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