苦手を克服する必要はあるのか
多くの人が一度は思い悩むことなのではないでしょうか。
私の結論としては、
「それを仕事にしたいなら、ある」
「幸福に自由に生きていたいなら、ない」
です。
人間、得手不得手というものがあります。
初等教育から始まり、水平的な教育水準を引かれる我が日本国においては、「人より秀でている」ことよりも「人より劣っている」部分にフォーカスが行きがちです。最近ではそれも随分と和らいだようですが、公的な仕事ともなってくると、未だにその風潮は根強いのだなぁと感じます。常識、という言葉で武装した評価基準はときに暴力とすら感じます。
私が仕事としての音楽を辞めた、のはある理由があります。
それは「クライアントの要求する案件に応えられなかったから」です。
もっと突き詰めていうと、「自分を曲げられなかった」「相手の要求に合わせて工夫する能力が無かった」ということです。
音楽活動のお給金はすべてクライアントから支払われる訳ですから、それに答えられないようであるなら、当然稼ぐことはできないですね。
当時の私は洋楽に傾倒しており、Jpopが苦手でした。私は洋楽系のジャンルを中心に活動する中で音楽的に評価を得ていたので、最初に頂いた仕事もそれだったのです。得意としている内容なだけに、楽しく進められました。
しかし蓋をあけてみると、求められるのはJpopなのです。どこへ言っても、テンプレートのオンパレード。さらにその中で、光り輝くものを持ってないとダメ。
私は苦心しました。得意な洋楽を織り交ぜてみたりしましたし、いろいろなジャンルの音楽を研究し、TV番組から各種マルティメディアなども独自の視点で分析し、寝る時間を削って制作に打ち込みました。
しかし努力に見合うだけの成果とは言えなかったです。
その時、音楽が楽しくないと思いました。そしてこのまま、私は音楽業界人として行きていくのか、という自分の将来像が見えなくなっていたのです。
辞めるのは簡単です。あっと言う間でした。
じゃあ今は音楽はどう思っているか、といえば、大好きです。
生活できるだけの収入が、仕事で得られています。(介護業界のしごとですが)
ただ生きていき、趣味を続ける程度なら、別に苦手は克服しなくても生きていけますし、苦手なものから離れていき、得意なもので勝負すればいいだけ、だと思います。その方が精神的負荷が少なく、心も肉体もより健康でいられると思います。
しかし、音楽を仕事にしたい、となると話は別だったということです。
これは小説でも同じことが言えると思います。
カクヨムで活動するには、趣味の範囲内ならば、好きなジャンルを好きなだけ書けばいいと思います。
しかし目指すものが「人気者」だったり、「作家デビュー」だったりすると、それはまた次元が異なってくると思います。
・オンリーワンな個性になって突き抜ける
・あらゆるジャンルでも面白いものが書ける
・求められたものに対して、常に80点水準の作品を量産できる
いずれかの能力が必要なのではないかと思います。少なくとも私の人生においては、周囲を見渡した時に、成功をその手にしている方の条件は、全て上記に内包されています。
なぜこんな話題を出したのかと言うと、カクヨム内のユーザーでもいらっしゃるのではないかと思ったのです。
「本当は書きたいジャンルじゃないのに、読まれたいから仕方なく書いている」
そんな人が。
しかもそんな作品が高評価をもらっちゃったりなんかすると、もうその人の精神のねじれは始まっていると思います。本当は悲鳴を上げたくなっていたりするのではないでしょうか。
あげましょう。悲鳴を。
まぁでも、そこで自分の隠れた才能を気づかせてくれることになる、と捉えれば、幸せなのかも知れませんね。
私は叫びます。
ぎゃーーーー!
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