第14話 〜始まる世界の始動


番外編だの書いてる内についつい話が脱線していってしまったぜ。俺様が謝るのはレアだぞ、申し訳ない。

さて、ここまで仁や緋音、黒成が訳の分からない夢を見ているのを記してきた。緋音は昔から多重人格というやつを持っているせいで話がごちゃごちゃだが、以前の世界での緋音の過去に関連している。

以前の世界?なんのこっちゃ?

そう思う読者の皆様に解説だ。あの小説はリアルで、転生するたびに記憶してきた俺様たちの、無意識のうちに書いてしまっているメモリーのようなものだ。

それで、そんな運命を突きつける神様と運命をどうしても許せなくて俺様たちは世界を繰り返した。本来、地獄やらで裁きを受けるはずの俺様たちは、転生を繰り返して、殺されて生まれ変わっては殺されてを繰り返してたんだ。もちろん、カミサマというやつの怒りはもう買っている。なんとしてでも我々を殺したいらしい。あの手この手で襲ってくる悲劇は、俺様にもトラウマを植え付けるレベルだ。この世界がもう何回目なのかなんて全く持って見当がつかないが、一番最初の世界で一番最初に音も無く消されたのはかなり応えた。俺様の今の強い光が苦手、なのは記憶が覚えてる生前のトラウマなのさ。

この世界では、

仁は、俺様や自分が殺される夢を見て眠れず、

六花は、不死身だったらと願うが故に不死身の冒険者の物語を綴り、

秋夜は、何百何千回と下半身を失い、転生していくにつれて、今では足が悪く杖をついていたり車椅子の生活、

菅野は、研究所という閉所で圧殺され続け、閉所恐怖症、

緋音は、彼らに消された体の部分が痣で覆われ左目も弱視、加えて多重人格の内の何人かが夢を見て独自に思い出そうとしているようだ、

緋音の妹ちゃん、涙音ちゃんも、首輪のような痣に、虫やグロテスクな血が苦手、

黒成は、仁と同じく夢を見始めた。俺様と同じく記憶を取り戻す日も近いだろう。

鷹は、一番最初にお腹を貫かれて死んだせいか今はお腹が弱い。胃痛持ちだ。

そして、恥ずかしいが俺様こと火呂は、あの消し飛ばされた瞬間に見た強い光が、怖くて堪らない。

……何を意味するのか、残念ながらこの世界は忘れられもしない一番最初の世界を一番色濃く反映して我々は転生してしまった。しかも、超能力なんて持ち合わせちゃいない。


こんなにもあの世界を思い出すキッカケは沢山あるのに、俺様やリーダーの仁でさえ何の対応もできていない。

もしかしたらあの世界からはもう抜け出していて、戦う必要がない世界だったらいいな。と思う気持ちと裏腹に、奴らが来たら今度こそ俺様たちは何もできずに殺されるか、みっちり搾り取られて殺されるかのどっちかなんじゃないかと怯えてる自分もいる。


俺様が言ったように「あの小説に続きは無い」

秋夜が言ったように「未来はずっと先で誰にも分からない」、

杞憂なのかもしれない。

あの日の日付が過ぎるまで、

この俺様は震えて眠るのだ。。。


そして、事態が動いたのは

あの日の日付。いつも通りの時刻、

俺様や他の皆が殺されていくより、ずっと早くに世界が動いた。

突然に青空は割れ、巨大な宇宙船と忌々しい緑色の肌が見える。


俺様たちは自然と外に出て、この状況を目に焼き付けて動けずにいた。



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