第13話 番外編『残るもの』
…………
「暇だな、なんか面白い話しろよ」
夏が差し掛かる頃、クーラーをつけるか否かの微妙な暑さの中で誰かが言った。
タマ「じゃ、意味が分かると怖い話を……」そう言ってスマホをポチポチといじり始める巨体で頭にバンダナを巻いた人物。彼は幽霊などそういうものとグロテスクこそ大嫌いだが意味が分かると怖い話など、人間の闇が見える話は大好きだった。
タマ「タンマ、検索するのに時間かかりそう」
検索し出した本人からタイムがかかった。なんでも、自分が今まで読みすぎたせいで自分にとっても新鮮な話が見つからないそう。
火呂「じゃーガンダ○の……」
緋音「待ってそれ俺ら分かんない」
涙音「同意です」
秋夜「じゃあ、仮面ライダーアギ○の、」
藤斗「いやそこは語り尽くせない銃の、」
菅野「いやいや、ここはメイドの美を、」
鷹「……(ため息」
言い出しっぺが誰かも分からなくなるくらいてんやわんやと騒がしい。
緋音「あー、じゃあさ。動物や生き物、ものによって数え方の単位が違う意味知ってるか?」
仁「たとえば?」
わぁ(俺)知ってる!!と言いたげなタマの口を塞ぎ仁は興味を示す。
緋音「例えば鳥。殺して食べた後は何が残る?」
藤斗「骨?」
緋音「違う違う、骨は一応何かしらに利用できるだろ?肥料とか。正解は、羽根。」
人差し指をピンと立てて緋音は得意げに笑う。
火呂「羽根?」
緋音「そう、だから、一羽、二羽って数えるんだ」
涙音「なるほ」
緋音は妹、涙音の反応に気を良くして更に続ける。
緋音「魚に残るのは尾びれ。だから一尾二尾。そんで四足動物に残るのは頭。だから一頭二頭。」
タマ「残る物が、そこに確実にあるものだから、数えて使うようになったんだよ」
緋音「それ俺が言うところー」
ごめんごめんとタマが謝る。
緋音「稲は切り株が残るから一株二株、」
秋夜「じゃあお米は?食べたら残らないよ?」
緋音「お米は、食べた後に残るのはそれを包んでいた俵。一俵二俵ね。」
その後も、神社はお社が残るから一社二社、算盤や銃は挺。電車は両。鳥居や墓は基だけ残るので一基二基と数えるなど緋音は楽しそうに続けた。
だが、緋音が珍しくグロテスクな方面を言わない。タマは知っている、人間に関しては緋音はグロテスク方面にしかもっていかないと。
仁「じゃあ『人』は……」
アァァァァァァァー!!言ってしまった!!言わせてしまった!!タマは冷や汗をかく。緋音のことだ。グロテスク方面に走る!!
一瞬の静寂。
やっちまった感満載の面々に走る緊張と、ニヤリと悪魔的に笑う緋音。
一人二人、一名、二名、、、
緋音「人は、食ったら…… 『人名』 だけが、
…………残るのさ。」
骨は墓の下に行くから残らないんだ。
そう解説した緋音はどこか少し寂しそうだった。
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