夜桜ドライブ:透哉と睦月
桜の見頃を迎えた、三月下旬の夜。
助手席に着く
アークヒルズの外周通りに差し掛かると、ライトアップされたソメイヨシノの トンネルが現れる。桜の木々がライトに照らされて幻想的な雰囲気を作り出して いる。
「ビルの間に桜並木か、都心ならではの光景だな」
透哉は運転席から桜を眺める。
「なんか、別世界にいるみたい」
窓越しに桜並木を眺めながら、睦月はひとりごちた。
しばらく車を走らせ、桜並木のトンネルから抜け出したところで、睦月のスマ ホからSMSの通知音がした。アプリを開くと、カナデがグループメッセージに 花見の開催予告をしていた。
「来月の上旬にお花見パーティーだって」
睦月は透哉に声をかける。
「毎年恒例だな。集まったって、どうせ花より団子でしょ?」
透哉にそう返事をされた睦月は、去年の花見の様子を思い返した。確かに食事、 酒、会話に夢中で、桜のことは頭になかった。
「それもそうか。今のうちにお花見済ませなきゃね」
スマホの画面をスリープさせコートのポケットに仕舞うと、睦月は再び流れる 景色を窓越しに見つめる。
「次は東京ミッドタウン近くの桜並木か。花見はまだ終そうにないな」
透哉の気まぐれなドライブデートから、夜の花見に変更となった。
睦月は次なる夜桜のスポットを探すべく、仕舞ったスマホを取り出すのだった。(終)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます