Daytime drink:颯と秋明

 タンブラーグラスに、スライスしたライムとスペアミントの葉を入れて、カクテルペストルで潰し、クラッシュアイスを入れる。

 ホワイト・ラムを大さじ三杯ほど注ぎ、トニックウォーターを適量加えて軽く混ぜれば、モヒートの完成だ。

 秋明しゅうめいあざやかな緑が踊るグラスを両手に持つと、リビングへ向かう。

 リビングでははやてがソファでくつろぎながら、愛器のエレキベースを弾いていた。

「おまたせ」

 秋明はローテーブルにグラスを置き、颯の横に腰掛ける。

 颯はベースをソファのそばに立てかけると、グラスをつかんでモヒートを一口飲む。

うまい! 平日の暑い昼下がりにはモヒートが合うな!」そう言ってグラスをあおぐ。

「良かった、ソーダがなかったからトニックウォーターで代用したけど、うまくできたみたいだな」

 秋明もグラスを仰いで一口飲む。

「なにかおつまみなかったけ?」

 颯はソファから立ち上がると、キッチンへ歩を運ぶ。

「コンビニで買ったポテトチップス置いてなかったっけ?」

 秋明も振り向いてキッチンに視線を寄越よこす。

「あった、あった」

 レンジ横に置いていたカゴからポテトチップスの袋を取り出すと、足早にソファへと戻る。

「平日で休みの日くらい、酒でも飲んでゆっくりしようや」

 颯はそう言って袋を開ける。

「そうだな、明日に向けて英気を養うか」

 秋明はそう返すとグラスをかかげた。颯も同じようにグラスをかかげる。

「改めて、乾杯!」

 グラスがぶつかる音を合図に二人きりの飲み会が始まった。(終)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る