その弐。

 十一月□日、午後二時四十五分


 トーストとカフェラテを堪能し、幸せな時間を堪能した後、お店を出て駅へ向かった。

 ここからテーマパークまでは約五十分ほどかかる。東京都と神奈川県の境目に近い場所にあるのだ。改札を通ってホームで電車を待っていると、スマートフォンを操作していた佐々木ささきさんが声を上げた。


「どうしました?」

「閉園、早まってるんだけど……!?」


 テーマパークに行く日を決めた時、ホームページ上では十八時閉園だと書かれていたため、あまりアトラクションに乗ることをしなければ閉園ギリギリの滑り込みでもまわれると思っていたのだが、ホームページを再度確認すると、閉園時間は一時間も早まっていたのだ。


「今から向かっても十六時前後か……」

「しかも閉園一時間前って結構閉め始めていること多いんだよね……」


 暫く沈黙していると、新宿行きの電車が止まった。どのみち、乗り換えの関係で新宿にはいかなければならない。電車に乗って、佐々木さんとこの後どうするかを決める。


「テーマパークは今度にしよう」

「そうですね、どうしましょうか?」

「行きたいところある?」


 この時間帯から、この場所から行けるどこかーーと考えると、パッと浮かんで来ない。先程から観光スポットがまとめられているサイトを見ているものの、どれも微妙だ。

 そうこうしているうちに新宿駅につくと、とりあえず降りた。隣のホームには山手線が丁度到着したところだ。


「……山手線で一周しながら考えます?」

「え、乗るの?」

「意外に楽しいかもですよ?」


 とりあえず山手線に乗って、どこに行こうかと話ながら降りる駅を探す。しかし、一向に決まらない。


「このまま乗ってたら上野で降りて動物園直行決定になるけど」

「それもありですね」


 結局、上野駅で降りた。

 気になるカフェを探しつつ、上野公園方面の改札口を出る。人の流れに乗って進んで行くと、平日にも関わらず多くの人が園内を歩き回っていた。確か美術館ではフェルメール展やムンク展が始まっていたような気がする。恐竜の骨見たさに何度か一人で公園付近を歩いたことがあるが、その時の殺風景な光景と比べると、見違えるほど賑わっていた。

 

「この際どこか入る?」

「それもいいですね。個人的には国立科学博物館が好きなんですどまた今度にして……」

「え? 博物館でもいいよ?」

「フタバスズキリュウの骨格標本の前で一時間は居続けますよ?」

「そんなに!?」

「はい! 小さい頃の夢は発家でした!」

「は……白骨化!?」


 これは完全に私の話し方が悪いのだが、一部勘違いをさせてしまった気がする。

 小さい頃から恐竜や化石、更にUMAといった未確認生物が好きだった私は、「骨を掘る人」を「発家」だと思っていた。正しくは「発家」である。

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