上野散歩編
登場人物・プロローグ
登場人物
※今回は佐々木さんと間宮の二人でお散歩します。
それではどうぞ。
*****
――十一月某日、午後六時三十五分
「たっきー、小説書いてるって?」
「旅日記。」を書くきっかけとなった栃木編を投稿して、暫く時間が経ったある日のこと。
唐突に問われた内容にどう答えればいいのか、キラキラと輝かせた目でこちらを見てくるとある人物を前に、私は引きつった笑顔で接客していた。
四月から働き始めたカフェでデザートの提案をさせてもらえるようになって以来、デザートが店舗メニューとして採用されると、
特に佐々木さんは私が出勤していないときでも来てくれる、今や常連客の域に片足を突っ込んでいる気がした。
十一月に入って、ずっと提案していたタルトがやっとメニュー化されることになり、その日のうちに二人に連絡すると、想像以上に早く亀田さんが仕事終わりにカフェへ寄ってくれたのだ。本来なら
注文されたカフェラテと新作のタルトをテーブルに持っていくと、亀田さんはなぜか小声で冒頭の内容のことを問う。
亀田さんには一度旅行記の話をしたが、ほんの少しのことだったため、私自身忘れていた。そういえばサイトのURL、佐々木さんにしか送ってない。(むしろ最初からそのつもりだったのは内緒の話)
「いやぁ気になってはいたんだよね」
「……あああ……はい」
協力していただいたからには読む権利がある。
カウンター裏に戻ってスマートフォンを操作し、サイトのURLを送ると、カフェラテ片手にニヤニヤしながら旅行記を読み始める亀田さんを見ないようにして仕事に戻った。
*****
「あーーそう言えば聞かれたよ」
「やっぱり……」
数日後、久々の休みに佐々木さんととあるカフェに向かって歩いていた。
佐々木さんとは八月くらいに一度カフェ巡りを一緒にしたが、目的の物まで辿り着かなかったため、今回はそのリベンジとテーパマークに行く計画である。
テーマパークは私が好きな黄色い犬のキャラクターがいる屋内レジャー施設だ。一人で行くには勇気がいるので、佐々木さんからお誘いを受けたときは本当に嬉しかった。
好きなカフェでお茶をして、楽しい話をしながらテーマパークへ行く。――そんな楽しい一日になることをワクワクしながら、カフェへと足を速めた。
――この後、まさかこんなことになるなんて、考えもしていなかった。
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