その四。
五 八月◯日、午後四時三十分
一通りまわったところで、そろそろ鎌倉を出ることに。鶴岡八幡宮の近くに停めた車に乗り込むと、
「平日と休日の料金違っているの、今気づいた」
「まさかの二倍の金額」
コンビニに行かずに手持ちでなんとかなった。その後高速に乗り、自宅へ向かう。夕食について問うと、車を運転しながら千晴は言う。
「カレーがいいな! たーさん作って」
カレーか。家に着くのは恐らく六時過ぎだから多分大丈夫だろう。
「おっけー。じゃあ家帰る前にスーパー寄ろう。朝食分も買わないと……あ、明日の朝は何がいい?」
「『オシャン』なやつ!」
『オシャン』――恐らくお洒落な、という意味。よく千晴が使う言葉だ。
以前、朝食はいつも米が主食だと言っていた気がする。
「じゃあちょっと豪勢にフレンチトーストとかどう?」
「フレンチ! いいよ! たーさん作れるのすごいね!」
「ちーさん、浸して焼くだけよ」
自称料理音痴だと言う千晴。そういえば以前も簡単なスープ的なものを紙に書いて渡した気がする。
それでも彼女の言う言葉に嘘がないと思えるのは、幼馴染みという関係からなのかもしれない。
「ちーさん、カレーに人参は入れないとダメ?」
「入れて欲しいなー」
夕食と翌日の予定と、観たいホラー番組と。時々流れてくるキャラクターソングを口ずさみながら帰路に着く。
翌日、綺麗に焼けたフレンチトーストが美味しかったかは、また別の話。
*****
鎌倉を満喫した翌日は原宿でバーチャルリアリティーを体験していました。
とても楽しかったです。
……という、どうしようも締まりのない文面で終わり。
ちーさん、お仕事大変だろうけどまた遊んでね。
鎌倉日帰り編、終わり。
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