第14話 ソフトクリーム作戦
蛇愚地山羊人(じゃぐちやぎと)は一計を案じた。
「オカキよ、俺は今すごくいい作戦を思いついた」
「!?」
「あそこに金持ってそうな女がいるだろ」
ヤギトの視線の先には、お嬢様感のあるブロンドの少女。
「俺があの女に無理やり言い寄る。そこでオカキがすかさず助けに来るんだ。それで悪い男から助けられたら、ついお礼の一つでもしたくなるってモンだろ」
「さすがヤギトの兄貴、しげぇよアンタ天才だ」
「じゃあ早速配置に付け」
お嬢様的な人は蒲焼鳥バーガーをアホみたいな顔で眺めていた。そこに現れたのが我らのヤギト兄貴。
「よぉよよぉお嬢さん、ちょっと四十分ほど時間はあるかい」
すると不思議そうな顔をするお嬢様的な人。
「まぁ、このソフィア・T・モヴィシに用かしら」
「俺と一緒によぉ、一級河川について語りながらソフトクリームでも食さねぇか」
ヤギトが考えた精一杯の知的でかっこいい誘い文句だ。
するとソフィアと名乗る少女は不敵な笑みを浮かべ
「へぇ、ソフトクリームですのね」
と言いながら袖をまくる。その華奢な両腕には青白く揺らめく炎、妖値炎だ。それはアインカイツの赤く燃える妖値炎とは正反対。恐ろしいまでに不気味で、凍てつくような冷たさを秘めた妖値炎。
その異常さをヤギトは本能的に感じ取り、とっさに距離を取った。
「すっすまねぇ、どうも人違いみたいだぜ。じゃあな」
「あっあの……」
ヤギトはオカキの待機していた漬物コーナーに戻った。
「おい、オカキ!!どうして助けてくれねぇんだよ。もう少しであの妖値炎を纏った腕で脳みそ手こね寿司にされる所だったぜ」
「えっ兄貴を助けるんでしったけ」
「そこはアレだ、状況をよく見て考えろ」
「俺そんなに難しいのは無理っすよ」
「もういい、ソフトクリームは。行こうぜ峠へ」
作者もソフトクリームが食べたくなったので、今日のお話はここまで。
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