第12話 それぞれの旅立ち
蛇愚地山羊人(じゃぐちやぎと)は旅立つ。
「ナダクの街に行くには、まず西の峠を越えたソヴァモールの街に行くといい。そこから川沿いに南下すればやがてナダクに着くだろう」
との長老からのありがたいアドバイス。
「なるほどな、よくわかったぜ」
それからヤギトとオカキは、別れを惜しむ村人達に見送られ、出陣のジャンボホラ貝の音を背に旅立った。
その二人の姿を村人達はいつまでも見届け、やがて二次会のカラオケ大会に移行した。
「なあ長老よ、あれを渡して良かったのかね」
神様(自称)は目を細め、西の空を見つめている。
「どうもわしはあのヤギトが、伝説の人の様な気がしましてな」
「あいつがねぇ、この古くからの言い伝えのあの伝説の人。『世界がなんか危ない感じになった時、どこかから現れてなんか世界とかをいい感じにする』と言われているあの伝説の人ねぇ」
「キツツツ」
ヤギトとオカキを村はずれの農道で待ち受けていたのは半裸の妖師。今日はアライグマ用の罠にかかっていた森さんだ。
「遅かったな、お前達」
「は?なんでいんのお前」
「だってなぁ、あんな事件起こしたら隣の村に居づらいだろ俺も」
森さんの言う事も一理ある。
「だから俺は一流の妖師になる修行の旅って訳だ」
と何気ない会話をしていたら農家のおじさんがやって来て
「かかったなアライグマめ。いつもいつも畑を荒らしおって、今日はもう許さんぞ」
「ひぃぃぃ、違うんです誤解なんです。俺は畑を荒らしてはいない」
「保健所に売り飛ばしてやる」
森さんは農家のおじさんに罠ごと引きずられていく。
「お前ら助けてくれぇ」
誰か助けてあげて。
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