第10話 紅蓮の結末

 蛇愚地山羊人(じゃぐちやぎと)は放たれた。

 アインカイツの自宅めがけて夜の村を駆け抜ける。

 ヤギトは郵便受けに入っていた手紙を嫌がらせで食べてから、ドアを蹴破り自宅に押し入った。


「なんだこんな夜中に騒々しい」

 アインカイツは寝る時はクマの柄のシャツを着ている。

「むっお前は朝の、もう脱獄したのか」

「俺の拳はお前の顔が好きみたいだぜ」

 ジャガイモの入ってないカレーの恨みと夜中に起された恨み。二つの恨みがぶつかり合って世界が歪み、きしむかのような音が轟いている。


「これはいい月だ」

 アインカイツは外に出てから服を脱いだ。妖値炎が月に照らされ、妖しく光りゆらいでいる。きっと高火力の妖術を出す気だ。

「フフフ、お前などわしの紅蓮で人間バーベキューにしてやる」

「ヤギトの兄貴、アイツやばいよ」

「落ち着けオカキ、ヤギト殿にも考えがあるはずだ」

 森さんの言う通り、ヤギトも必勝戦術を考えて来たのだ。


「アインカイツッ!!ピザって十回言ってみろ!!」

「えっあっピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ」

 ヤギトに乗せられ、つい言ってしまったアインカイツ。

「じゃあこいつはなんだ」

 ヤギトは一気に距離をつめ、腕を振りかぶる。アインカイツも応じて手を掲げ

「っえ、ひざ?」

 なんという事か、ピザで頭がいっぱいのアインカイツ。ヤギトの策略通り炎を頭の中で念じる事が出来なかった様子で、手から出たのは一枚のピザ。

「これは肘じゃぁぁぁ」

「マョコォォォォォン」

 ヤギトの肘撃ちが炸裂、アインカイツは三メートルくらい吹き飛んだ。

「食べ物の恨みは、恐ろしいんじゃぁぁぁ」

 勝負あり。

 ※出て来たピザはオカキが食べました。

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