第27話 今日其玖
ひとりになった
気が付けばあたりは真っ暗
玄関に座り込んでいた
立ち上がる気も全く起らない
そうしていたからって
あいつが戻ってくるわけじゃない
わかっている
俺の心も戻らないところにあった
うっとうしい体を起こす足
女々しい手でリビングのドアを開ける
ここも広くなった
違う 元々広かったんだ
冷蔵庫にはタッパーが並ぶ
適当に三つ取ってフタを開ける
かぼちゃのサラダ
ひじきの煮物
鶏の南蛮漬け
近くにあった箸で
かぼちゃのサラダを食べる
あいつと作ったんだ
あいつの味がする
俺はおかずの前で
思いっきり
淋しさや儚さ
言えなかった悔しさを叫ぶ
誓いの言葉なんていらなかった
必要なのはあいつだった
言っても仕方ないから言えなかった
神様は俺から大事なものを奪う
いつも いつも いつも いつも いつも……
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