第24話 今日其陸

いつもなら もうベッドの上

リビングのソファから離れられない

眠りを妨げる

作業を終えない脳みそ


同じ部屋に入る事

一緒にベッドに入る事

隣で寝る事

明日が来る事

ひとつひとつが最後だと


「瓜生寝よう」

ごちゃごちゃな俺にあいつが言ってきた

誰のせいでこんな事になったんだ

階段がいつもより短い



もう部屋が涼しかった

あいつがいつの間にかセットしといたんだろう

なるべく普通にしていようと

いつものように電気を消す


最初は暗いと思うが

すぐに目は慣れる

いつものように壁を向く

背負うもう一つの体温


このままこの今夜を終えるのか

何も言わないまま

明日を受け入れるのか

壁を見たまま


「瓜生、明日午前中に引っ越し業者が」

その言葉に振り返る

「お前朝いなくなるのかよ」

思ったより震えた声


「瓜生泣かないで」

あいつが俺の顔を撫でる

「お前、ホントに、いつも、いきなりなんだよ」

あいつの手を振り払う


しばらく二人の間に許された過去達が通り過ぎた

最後のテールランプが

どこからかともなく

闇を散らす

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