第18話 ヒトノカラダ

あれから五日

一緒のベッド

あいつは躊躇なく横になる


俺は何も言わず横になり背を向ける

上も下も向けない

ましてやあいつの方なんて


六日目電気を消してベッドに入る

俺も慣れたもんで

睡魔が襲っても無抵抗


「瓜生」

睡魔?

「明後日出ていく」

何て?

沈黙がかすかに震えている


「そうなんだ」

おい 他になんか言えないのかよ

「言うつもりなかったけど、やっぱり一応」

何か 何か こいつに言ってやれよ


言葉が出ない代わりに

暗闇の中 身を反転させる

目の前の人間が

目を伏せているのはわかる


「明日、どう過ごしたい?」

ありきたりな俺の脳みそ

「今を大事にしたい」

と伏せたまなざしはそのまま俺の胸にもぐる


えーと こういう時は

どんな方程式を使うのが正解なんだ

勉強嫌いな俺がわかるはずもなく

脳みそより体を柔軟にした


冷房が効いてると人肌が心地いい

こうしてみると

人の体は抱き合うためにちょうどいい作りになっている

完成したパズルみたいだ


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