第7話 理由

ネコたちの世話は、最初は僕ひとりだった。

でも、気が付いたら、そばに、みこがいた・・・


みこはいつも言う。

「勇気くん、変わったね、いい意味で」

「最初は、正直逃げ出すかと思ったけど、がんばってるね」

真意はわからない。

でも、悪い気はしない。


いつの間にか、ここへ来て2カ月が経とうとしていた。

ネコたちは、もうすっかりなついてくれている。


「ところで、わかった?」

「何が?」

「私の、この巫女服の色の理由」

「コスモスをイメージしているのは、わかるけど・・・」

「正解」

「ほんと?」

「うん、他にもあるけどね。80点あげる」

「・・・どうも・・・」

不足分の20点は、なんだ・・・


「もうすぐ秋も終りだね」

みこが寂しそうに言う・・・

「そうなると、勇気くんとも、お別れか・・・」

「えっ、期間は半年なんじゃ」

みこに聞き返した。


「最初はそうだったんだけどね。がんばってくれたから・・・」

みこから、紅茶を差し出された。

ありがたく頂くことにした・・・


「私、勇気くんのことが、好きだよ」

「えっ」

思わぬ発言に、むせてしまった・・・


「でも、『恋』かと訊かれると、それも違う・・・」

「じゃあ、どういう意味・・・」

「尊敬・・・かな・・・」

みこは、天を見上げた・・・


「ねえ、私の飼い猫、覚えてる?」

「確か、リンちゃんだったよね」

「うん、ありがとう。覚えていてくれて」

「リンちゃんが、どうかした・・・」

そういえば、見かけていない・・・


「よいしょ」

みこは、腰を上げた。


「勇気くん、来て、教えてあげる」

「何を?」

「いとこが君を推薦した理由、そして、私が君を雇った理由」

「えっ」

突然の事に驚いた。


「気が付いたと思うけど、ここには『神社』とは書かれていない」

「うん」

「怪しいと思ったでしょ?」

「うん」

確かに怪しいが、気にならなくなっていた・・・


「掃除のアルバイトといつわって、いとこが君に電話したのも、

全て、私と最初から、仕組んでいたの・・・」

「えっ?」

おかしいとは思ったが、やはりそうか・・・


「でも、悪い意味ではないからね。その事を教えてあげる」

みこに手をひかれて、ついていった・・・


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