第5話 別のとこ

そんなこんなで、この神社で住み込みで働く?事になった。

翌日、家から教科書が送られてきた。


この神社、神矢神社は離れがあり、そこで一家が生活している。


ご両親と兄がいるようだが、お兄さんは独立し家を出ているので、その部屋を貸してくれた。

みこのご両親も、とても打ち解けやすい人だった・・・


とまどうと思っていたが、僕の適応能力が優れているのか、すぐ慣れた・・・


家賃はいらないらしい・・・

そのかわり、給料から差し引くと・・・

まあ。当然だろう・・・


みこと登下校は一緒なのだが、事情を知っているせいか、だれも冷やかしてこない・・・

ただ、みこのいとこである僕の友達に推薦理由を聞いても、

「いずれわかる」としか、言わなかった。


というわけで、仕事のネコなのだが、ネコに住みやすい環境を作るために、

ネコについて、いろいろ調べた・・・


ネコの性格は知っているが、厄介なのが、爪とぎ・・・

専用の爪とぎ機を大量に買い、いたるところに置いた。


ネコのためには、引きこもっているわけにはいかず、必然と外へ出る事になる。


「まるでネコカフェだな」

そう思わずにはいられない・・・


「どう、勇気くん、上手くいってる?」

みこが、よく声をかけてくる・・・

「うん、大丈夫だよ・・・」


ネコ

とても気まぐれ・・・

勝手気ままが好きなのに、構ってもらえないと寂しい・・・


まさしく、僕に似ている。

だから、あいつは僕を推薦したのか・・・


「勇気くんが、思っているのとは、多分違うよ」

みこが声を掛けてきた・・・


「えっ」

「いとこが、君を推薦した理由」

みこにはわかったのか・・・僕の心が・・・

そういえば、わかるって、言ってたな・・・


「いとこが、君を推薦した理由、もっと別のところにあるよ」

「別のところ?」

「私も手伝うわ。何をしたらいい?」

みこは、にこにこしている。


「じゃあ、脚立持ってきて」

「脚立?」

「あの木の上で、コネコが震えているから、下ろしてあげようかと」

「はしごでもいい?」

「うん」

「わかったわ。待っててね」

そういって、みこははしごを取りに行った。


僕は高所恐怖症なのだが、いつの間にか忘れていた・・・

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