秋の足音

尾巻屋

オータムカムズ

 秋が近づいてくる。

 深夜の曇った空を見上げながら、そんなことを思った。

 春の浮きだった気分は夏に向けての忙しなさにうち消され、後からやってきた猛暑には散々いじめられた。

 

 ああ、夏は嫌な季節だった。

 世間ではなんたらの最後の夏とか言われて余計に暑苦しい思いをした。そういうのを見てから自分を振り返ると、なんだか暗くなって嫌だ。

 今足音を立ててやって来る秋が、少しの休憩もなく走り去ったら、字面からしてまた騒がしそうな師走がやって来る。

 そうしたらまた季節が巡る。


 右手に持った買い物袋がかさりと音を立てた。

 おっと、風が強くなってきたか。

 秋、冬は自分の季節になってくれるよう願って、今日も朝に眠る。


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秋の足音 尾巻屋 @ruthless_novel

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