ep.8 教会
「……僕の右手の………?一体…」
言いかけて、揺れが止まる。
「おっと。………ここだな、入るぞ」
そう言いながら踏み出した先はエクスにとって初めて入る場所でありながら、よく知っている場所。
「………ここって、もしかして」
「教会だな。ここに呼ばれている」
荘厳に聳え立つ、神聖でいて、何処か近寄り辛い建物────教会。
「え、あの。僕呪われてたり……?」
恐る恐る聞く。
人が教会を訪れるは色々あるが大半は礼拝であり、礼拝が目的でない者はその身に受けた邪───呪いを祓う為に訪れる場所。
一般的には認識されている。
今回来た理由が礼拝では無いとすると、思い当たる事はエクスには呪いに関する事しかない。
が、そんな思いはすぐ裏切られる。
「いや、今回は呪いではない。童子を運んだ時に呪いを受けてないかシスターにも調べてもらったんだがな」
そこで教会の扉が開く。
「来ていただき、感謝します」
奥には、神官と思われる男性と女性が立っていた。
「エクス様も、お怪我が治ってまだ間もないのに、お呼びだてしてしまい申し訳ございません」
神官だと思われる2人が深くお辞儀をする。
「ですが、もしかしたら此度の騒動と元凶、それらの闇を切り払う光となるかもしれないのです」
女性の台詞を男性が引き継ぐ。
「エクス殿、右手の甲を見せてもらっても宜しいですか………?」
エクスは素直に甲を見せた。
「………神託の通りです。この紋はいつから………?」
男性が眺めながら問う。
「生まれた時からあったと聞きました。17年間、ずっと」
そう告げると、ありがとうございましたと男性が下がる。
「ここまで来ていただいた上で申し上げます。我々と共に王城へ来て頂けますか?」
エクスは固まる。
「…………おう、じょう?」
「はい、貴方は。いえ、貴方様は私達が待ち続けた光だと確信致しました」
男性の目は真っ直ぐとエクスの顔を見ていた。
「えっと………」
混乱しているエクスは
「さきに、服を着替えたいです………」
そんな一時凌ぎの提案をする事しか出来なかった。
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