ep.2 宿屋と王都探索と
マルドアと門の近くで別れてから数分。
エクスは王都を歩きながら宿を探していた。
「なるべく王城に近い宿がいいかな…」
暫く歩いてると宿屋が見えてくる。
王城も離れすぎておらず、丁度いいと宿へと入った。
宿へ入るとすぐ正面にはカウンターと受付をしている少年が目に入る。
「いらっしゃいませー!精霊の宿り木亭へようこそ!」
「すいません、宿を取りたいんですけど。空いてますか…?」
少年に声をかけると、ちょっと待ってくださいねーと言いながらカウンターの裏へ潜り込む。
次に顔を出した少年の顔は苦い表情をしていた。
「申し訳ないです…今お部屋が全て埋まって居る様でして…」
申し訳なさそうに言う少年にエクスは落胆の表情を出さず「そうですか……分かりました、他をあたります…」と返し、踵を返そうとした。
「あー、ちょっと待って。部屋出る所だから」
奥の通路から声を掛けられ、振り向く。
歩いてきたのは、剣を携え鎧を着込んだ女性。
「お部屋、いいんですか?」受付の少年が聞く。
「そこの男の子が良いならね。私今から仕事で別の国に行かなきゃなんないのよ…」
ほんとにいきなりなんだから、と不満そうに零す。
「お部屋が空くそうですが、どうされますか?すぐにシーツ等もお取り替えしますので…」
「あ、ありがとうございます!借ります!」
勢いよくエクスが言うと女性は「いいのよー」と返す。
「どうせ他の宿行ったって今日は王国建立祭とかでどこも宿いっぱいでしょう?ちょうど良かったわ」
そう言うと荷物を纏めて宿を出る。
「それじゃ、ありがとうね。先に払った宿泊代はキャンセル料って事で、お願いね」
女性が手を振りながら宿を出ると受付の少年はありがとうございましたー、と返す。
「お部屋の準備に少々お時間を頂いてしまうので、その間他のお店を見に行ってはいかがでしょうか?御荷物もこちらでお預かり致しますよ!」
受付の少年がそう言うとエクスは荷物をお願いした。
「それではおかえりになられたらカウンターにて鍵をお渡しします!御荷物もお部屋に置いておきますね!」
そう言われ、宿を出ようとした所でエクスは気付く。
「すいません……宿泊料って幾らですか…?
「あっ……1週間で銀貨1枚です…ごめんなさい」
宿泊料を払い宿を出たエクスは先程マルドアに貰った紙に書かれている店へと向かう。
そして着いた場所は少し大きな店。
看板には【レグレス商店】と書いてある。
「ここだよね……?」
エクスが入ると奥からマルドアが顔を出す。
「いらっしゃーい……ってあんちゃんじゃねえか、宿は取ったのか?」
聞かれ、大丈夫だと返した。
「そうか!なら早速、あんちゃんのスライムの素材、買い取ってやるよ!」
思っても見ない提案だった。
「いいんですか?」
エクスが聞くと、マルドアはニカッと笑う。
「おうよ!ここは魔物の素材の買取もしてんだ!祭り楽しめる程度には色つけて買い取ってやるぜ?」
「…ありがとうございます!」
エクスは嬉しそうに返すと、背嚢から腰のポーチへと移した素材をマルドアへと渡す。
「おう、じゃあまずは核が2つとそれから……」
マルドアの買取作業が始まった。
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