#2 お酒は麻酔でした

「死にたいなんてよく言うけど、本当に死ぬ人なんてひと握りだ」なんてよく言うけど、いつの間にか自殺企図していていつの間にか死んでしまう。


 友達が死んでしまった。よく死にたいと言っていたなと、あとから思い出す。

 辛い気持ちは知っていたしよく相談にも乗った。裏垢も全部教えてくれてたし、仲は良かったと思ってる。


 友達の自殺未遂は4回目だった。1回目は驚いて必死で止めたりした。だけど何度首を吊っても帰ってくるから、また帰ってくるかなと油断していた。


 友達はよく「お酒は麻酔だからリスカなんて痛くない」とか言っていた。本当にそうなのかな。貝印?のカミソリだったっけ。

 よく酔える9%の酎ハイと一緒に買ってみた。


 試してみようじゃないの、痛くないなら。


 お酒をがぶがぶ飲んで、顔周りが熱くなって、体じゅうの血管が広がる感覚がして、足がおぼつかなくなって。


 そろそろ麻酔になったでしょう。刃を腕に当てて一心に、右手に力を込めて。


 本当だね、痛くないね。痛くなかったよ。血が出てきた。って誰も居ないんだけど。


 もう誰も居ないんだけど。


 友達、アンタしか居ないんですけど。


 どうしてくれんの馬鹿なの?なんで本当に死んじゃうの?


 涙がぼろぼろ止まらない。後悔が止まらない。どうしてこんなに泣いてるんだろう。お酒のせいかな。泣き上戸だったっけ。


 友達が死んじゃった。

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