君の街

わみたゃん

#1 あたまがいいね

「きみはあたまがいいね」


 隣のおじちゃんちに遊びに行くと、いつも必ず言ってくれます。

 隣のおじちゃんは、地域のみんなにはとても有名で、面白いおもちゃをたくさん持っています。だから、わたしたちのような子どもたちに遊ばせてくれるのです。


 ある日、おじちゃんの家に行くと、冷たいりんごジュースを飲ませてくれました。

「おじちゃん、りんごやぶどうやなしなんかは透明だけどさ、バナナは透明にならないでスムージーになるよね、なんで?」


「きみはあたまがいいね」


 おじちゃんは言ってくれました。

「りんごやぶどうやなしのジュースは、果汁と言ってね、透明なんだよ。バナナはそのまま身をすり潰すから、スムージーなんだ。」


 ふーん、いまいちよくわかりません。


「じゃあさバナナは透明になれないってワケ?りんごやぶどうやなしのスムージーはあるよね?」


 おじちゃんは苦笑いしながらこう呟きました。


「OKGoogle バナナ 果汁」


 実はおじちゃんはあんまり頭が良くありません。自分でそう言っていました。だからいつも、わからないことは慌ててGoogleに尋ねるのです。

「なんだかよくわからないが、バナナ果汁を搾り取る特許があるらしいぞ」

「もういいよわかった、自分で調べるから」

「そっか…」


 おじちゃんには申し訳ないけど、自分で考えたり調べたりする方が早いです。

 だけど、おじちゃんがいつも、「きみはあたまがいいね」って言ってくれるのを心待ちにしています。

 ちょっと頼りないけど、隣のおじちゃんのことは大好きです。

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