第3話 恋心、僕、34歳
恋ってさ、辛いよな。
なんやねん、急に。
いや、僕さ、今まで、J POPにアホみたいに蔓延するラブソングを馬鹿にしてたわけよ。
8割ぐらいラブソングやん?
もっとなんかこう、社会派な歌詞を書けよ低能ども。そもそも、ロックやヒップホップやレゲエの起源は理不尽な社会に対しての反発を歌にしてやないかい。
てかそれさえもしらんやろ。
アホちゃう。
愛だ恋だ会いたい会えないこんなに辛いなら会えなけば、震える、さよなら
低能の戯言やと思ってたんやんか。
言い過ぎやろ。
なんや、その言いぐさは、心変わりしたと?
うん。俺さ、ぶっちゃけ、女性依存のセックス依存やからさ、今まで、軟派な男やったわけよ。
可愛い娘のケツばっかり追いかけ回してさ。
まあ、俺も唯一の救いは、顔はそこまで悪くないってことやねん。
そんで、女の子と喋るときだけ、普段使ってない脳がフル回転するわけよ。
いかに笑かせて、口説くか。
僕の脳ミソがそのためだけに、意識を集中させて、普段はアホでなんも考えてないけど、その時だけは、僕の脳は試合が始まったアスリートみたいなもんよ。
ただの変態やん
せやで。
そんな変態な女たらしの君やけど、ラブソングが嫌いやったと?
うん。もちろん、女の子と付き合ったことは何回もあるよ。(いつも最後はフられるけど
)
でもさ、ぶっちゃけ、今までの俺ってヤれたらそれで良いみたいな感じやってん。
せやかて、好きなことは好きやで。
恋もしてるよ。
最初のほうはその子のことばかり考えたりもするよ。
でもな、軽いねん。
遊びやねん。
だからさ、別れる時も、まあ、いつも向こうから別れを繰り出されるわけですが、
「別れよう」
と言われて、ショックやで。
10分ぐらいな。
でも、10分後には「まあ、えっか」
ってなるねん。
吹っ切れんの早すぎやろ。せめてもっと引きずれよ。
そこよ。結局、真剣じゃなかったし、大して好きじゃなかってん。ヤれたら良かってん。
だから、この世にラブソングがなんでこんなにウイルスのごとく蔓延してるのか分からんかった。
今は分かるん?
うん。今もちょっとラブソングを軽蔑してるところはあるけどさ、俺さ、今、真剣な恋愛してるんよ。
マジで好き過ぎて、その子のことしか考えられなくて、何も手がつけられなくて、その子と会えない日は鬱で寝込むぐらい。
会いたくて震えるぐらい。
重症やな。
うん。恋煩いってこんなに辛いもんやってんな。
今まで、恋愛って楽しいだけやったけど、それって遊びで真剣じゃなかったからなんやね。
聖帝サウザーの気持ちが分かるよ。
「愛ゆえに人は苦しまねばならぬのだ!こんなに苦しいなら、こんなに辛いなら、愛などいらぬ!」
まあ、あの愛はちょっと違うけどね。
真剣な恋っていうのはさ、楽しいというより、辛いもんやねんな。
一人の人を思う気持ちっていうのはビックリするぐらい大きいよな。
せやな、大嫌いな人でも、大好きな人でも、その一人を思う気持ちのエネルギーは大したもんやで。
真剣な辛い恋愛を体験してから、世の中に溢れてるラブソングを聴くと、歌詞に共感出来るわ共感出来るわ!
ビビったよ。
これ、俺のこと歌ってるやん!って。
単純やな。
深いよ。深いわ、恋愛って。
そして、恋愛って素晴らしいと思うよ。
辛いけどさ。
辛いけど、会わなければ良かったって思いたくはないし、そんなことはないよ。
会って良かったさ。
こんなに人を好きになれて良かったさ。
それだけで、生きてる価値があったように思えるもん。
愛を教えてくれてありがとうと言いたいね。
良かったやないか。歳も歳やし、結婚出来たらええな。
愛想つかされて、捨てられんなよ。
今までみたいに。
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