第09話 Re START
『さぁ、約束の日だ、
「はい」
あれから今日まで、空間操作を使って世界中を回り、俺がこの世界でお世話になった人達に挨拶回りをしていた。もうほとんどの人が懐かしく、空間操作で移動するから、頑張れば1日で全部回ることくらいできるが、思い出話に花を咲かせ、かなり時間がかかった。
「お兄ちゃん、絶対帰ってきてよね!」
「あぁ、ニーナ、ありがとな」
「かれんお姉ちゃんも
「にはは、かれんちゃんが死ぬのはSNSで尊すぎたり、可愛すぎたりするイラストを見たときくらいにしか死なないよ」
うん、SNSを知らない人たちにそれ言っても"イラスト"って部分しか伝わってないと思う。
「麻央ちゃん、また"放火ごっこ"やろうね」
ちょっとまて、今なんて言った、ニーナは!?
「あ、あの、"放火ごっこ"とは······?」
「お兄ちゃんもやる?」
「いや、今はもう出ないといけないし。というかそういう問題じゃないよね?」
「放火ごっこはねー、こうするのっ」
わっ、麻央いきなり魔法出してきやがって。ん?これが放火ごっこ?ただの魔法の撃ち合いみたいだけど。
「ねぇ、なんで放火ごっこって名前にしたの?」
「かれんお姉ちゃんがつけてくれたの」
え?
「ははは〜、なんか面白そうな名前ないかなーって考えたら思いついたの」
「もっとマシな名前あっただろ·····」
「気にしない気にしない」
『時間だ、一度神界に連れていくぞ』
「はい」
「じゃあな、ニーナ、色々とありがとな」
「大空お兄ちゃん、かれんお姉ちゃん、麻央ちゃん、絶対また帰ってきてね。またね」
その言葉を最後に俺たちは神界へと転移(?)した。
「さて、君たちにこれからのことをいくつか説明するよ」
神様曰く、
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今から行く世界は、自分のステータスはその世界の年相応のステータスになる
(世界のバランスが崩壊する事を防ぐ為)
ただし、使える魔法類は変わらない。だが、放出系魔法以外にも消費魔力値が存在し、魔力値は年相応になっている為、今までのように自由に使えるわけではない。
尚、各世界にあるアーティファクトを手にすれば、それまでのステータスにその世界でのステータスが加算され、その世界では自身の最高レベルで行動できる。
言語に関しては、世界をまたぐ場合に限り、母国語(大空達の場合日本語)に変換される為気にしなくてもいい。
━━━━━━━━
まぁ主にこんな事を教えてくれた。最後に行き先について、まぁ予想はしてたけどテンプレな地球より文明水準が低めな所らしい。地球より文明水準が高い世界も勿論沢山あるみたいだけどね。
「最後に、先日君に授けた空間操作の件だが、君が先程までいた世界(ニーナたちが居る世界)にいる場合にのみ、この神界にも来ることができるようにしてあるからな。また何か分からないことがあったら聞きに来るといい。さで、伝える事は全て伝えた。質問はないかね?」
「ないです」
「うむ、分かった。それでは行くぞ。健闘を祈る」
ふぅ、さてここが新しい世界か。
「おぉぉぉぉぉ平原だ!何もない!草しかない!」
「そこまでのことか?」
「いやいや、私、魔王城で引きこもってたから」
「あ、そっか」
この一言だけだと訳分からんけど、かれんは異世界に来て一番最初が魔王城というハードモードすぎる所からスタートだったからなぁ。
「パパ、これからどこに行くの?」
「どうしようか、とりあえず歩きながら街でも探すか」
━━━━数分後
「ねぇねぇ、大空!あれって」
「あぁ、間違いない」
「「魔物の群れが現れた!」」
やっべ、超楽しい。
「パパ達何言ってるの?」
さてさて、どうしようか。俺は魔法に特化させてるし、麻央も恐らく魔法寄りだろう。そうなってくると、やっぱMPが問題になってくるよなぁ。かれんは····
「ふっふっふっー、かれんちゃんは何が出来るんだ?って思ってるでしょ。かれんちゃんはゲームで言う所の僧侶なのだ!」
「なるほど、魔法使い2人と僧侶か。あとは勇者と戦士でもいればバランスのいいパーティになるな」
勇者なんて実在するのかな?ニーナ達が居る世界ではなんか勝手に勇者なんて言われてたけど、全然勇者でもないというね。ま、別に嫌な気はしなかったから自分でも勇者とか言っちゃってたけど。個人的に魔法使い志望なんだよなぁ。
「じゃあ、かれん、回復は任せた!」
「任された!」
「さて、麻央、俺たちは攻撃だ」
「わかった」
[ファーボ]
別に魔法名とか言う必要ないけど、なんとなく言ってみたくなる。
[フリーン]
よし、1匹倒したぞ。本当にステータス落ちてるんだなぁ。多分今までだったらこれくらいはデコピンでも倒せそうなのに。さて、残り2匹。
ドォォン
何だ!?麻央の方か。
「どうした、大丈夫···か···」
「魔法が打てなくなった」
あぁ、そういうことか。麻央の場合、引き取った時点で魔力値がおかしく、それに加え5年分の成長をし、さらに膨大な量になってたから、消費が少ない魔法なんて使ってこなくて、感覚が分からないのか。明らかにオーバーキルな魔法放ったから魔物は全滅したけど、麻央も魔法が打てなくなってしまったな。
「まだ1戦しかしてないけど、一旦休憩するか」
そうだ、魔力値とかってどうなってるんだろう。
「【能力鑑定】」
·····うーん、言われてたから分かってはいたけど、ステータス減りすぎだろ。まぁいいや。
その後、2、3時間程狩りまくった。ここだけの話、ゲームのレベリングの5倍は楽しかった。
「そろそろどこかに移動しない?」
「そうだな、ってそういえばここどこなんだろうな」
「パパ、あれ何?」
んー?なんだ、あれ。
「ねぇ大空、あれ、もしかして町?」
「だな、町だな。行ってみるか」
「よーし、新たなる仲間ができるといいな」
「まだ1つめの町だし、早いんじゃない?」
「いやいや、かれんさんよ、ここが最初の町とは限らないだろ。もしかしたら終盤の町かもしれないし」
「確かに。というかこの世界、何をやったらアーティファクト?ってやつが手に入るの?」
「分かんね、まぁ、まずはこの世界についてからだな」
「情報収集といえばやっぱ」
「酒場だよな」「王城だよね」
「おっとぉ?」
「いやいやいやいや、かれんさんよ、こういう場合大抵酒場のおっさん達が何らかの情報持ってるのがよくある話だろ」
「それは最近の話でしょ?王道はやっぱり王様の所に言ってやりたくもないような使命を聞くことでしょ」
やりたくもないようなって、おいおい。
「確かにそれも一理あるな。だが、知らないのか?最近の王城はセキュリティ意識をようやく持ち始めたのかは知らんが簡単には入れないだろう。門の前に行ったらイベント発生の可能性も十分ある。王に会ったら即牢獄行きになった作品もやった事がある。ならば、面倒くさくない酒場に先行ってみるのもいいのではないか?」
「うぅぅぅ······なら、そうしようか。確かにまだ何も知らないし、面倒事は避けておきたいよね」
「パパたち本当に何言ってるの?」
「ちなみに酒場ってあるのかな?」
「あ、そもそもの話?」
「そそ、だってさ、これゲームじゃないんだよ。そりゃ考え方はゲームの考え方でどうにかなる場面ばかりだけど」
「まぁでも、『冒険者ギルドありませんか?』って聞くより『酒場はありませんか?』って聞いたほうが通じるだろ。仮に酒場が無くても酒場という単語が通じないとは考えたくない」
「あ、言い切るんじゃなくて考えたくないなのか」
「そりゃそうだろ、何も知らないんだし」
「おっ、兄ちゃん、見ねぇ顔だな」
((野生のおっさんが現れた))
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