第07話 神の頼み
今、俺の前に”地球のある世界の神”と言っている人がいる。なんだこれ、どういう状況だよ!?
「君をあの世界に連れていき、テストしてみたがどうやら大当たりをひけたようだな」
???いやいやいや、だからどういうこと!?てか、テストってなんだよ。
「て、テストとは・・・?」
「あぁ、すまなかった。説明しないとわからないものな」
「まず、ここはどこなんですか?」
明らかに時計塔の中とかでもない。完全に別の場所だと思われるこの場所、あの人も【空間操作】みたいなスキルを持っているのかな?
「ここは、【神界】だ、そして、大空をここへ呼び出したのは、【世界操作】という神界魔術を使って呼び出した」
神界魔術???え、俺が「スキル」って呼んでいる魔法たちは、【魔法】と、【レアスキル(希少魔法)】だけじゃなかったの???まって、理解が追いつかない。
「はは、理解が追いついていないようだね、まとめてあげるよ」
「お願いします」
━━━━━━━━地球がある世界の神曰く、
この広大な広大すぎる世界には、いくつもの世界が存在し、そのすべての世界に共通な、魔法や魔術といったものが存在するらしい。ただ、この地球がある世界は、あえてこの世界の生命体が魔法や魔術を覚えないように、そして知られないようにしてきた。魔法や魔術に頼らない世界を作りたかったのだという。前述の通り、ただ”知られないようにしてきた”だけなので、仮に俺が地球に帰ったとしても、スキルが使えなくなるわけではないそうだ。
【神界】とは、冥界と下界(地球とか、大空が冒険していた世界とかの現実世界)の間に存在する世界で、神界の住人は主に、下界と冥界、それぞれの世界を監視している「世界の番人」のような存在らしい。そして、神界の住人ほぼ全員がそれぞれ1個の世界を担当していて、神界の人口のほぼ全員=世界の数らしい。
そして、俺が言っている”スキル”とは、魔法やレアスキルを区別するのが面倒なので全部ひっくるめて適当にそう呼んでいるだけなんだが、その、”スキル”には結構種類があるらしい。
まず、一般的なものが【魔法】。その次が【魔術】。そして、【希少魔法(レアスキル)】、【希少魔術(レジェンズスキル)】だそうだ。それに加えて、【神界魔法】、【神界魔術】と全部で6種類あるそうだ。
ただ、魔法と魔術に関しては、魔術の認知度が低いので、魔術でも「魔法」と呼んでいる人が多いのだとか。なので、レジェンズスキルも同樣にレジェンズスキルであってもレアスキルと呼んでいる人が多いそう。しかし、神界は、下界の4つのスキルに加えて【神界魔法】と【神界魔術】(以下、神界スキルと表記)があり、全員がその6つすべてのスキルの存在を知っているので、神界の住人は、【魔術】を【魔法】と呼ぶことはめったに無いらしい。そして、6つのスキル以外にも冥界のスキルなどの存在も知っているらしい。
================
そして、大空を神界に呼び出したのは、外界の各世界に1個あるアーティファクト最低12個を神界に集めてほしいからだという。冥界と下界の境界線的なものが緩み始め、現代の神界魔術でも完全な修復は不可能で、完全に修復するためには古代の神界の方々が作り上げ、そして封印した現在では【世界魔術(ワールドスキル)】と呼ばれる、古代の神界魔術を使わなければ不可能だそう。そして、ワールドスキルを一気に封印を解除してしまっては危険すぎるので、古代の方々が新世界には必ず自動生成させるようにした通称”アーティファクト”を最低12個以上使えば、1つずつでも封印を解除できるそう。
━━━━━━━━━━━━━━━━
「それで、何で俺が?」
「君は、神界でもそこそこ有名でね、気づいているかい?君は1つだけだが、既に、本来、外界の生物は知る者すら少なく、存在を知っている者でも習得が非常に困難な神界魔術を取得しているんだよ。そんな人間滅多にいないからね。しかも君は魔法などとは無縁の地球生まれ。だから余計にこれからもっと強くなるとあちこちで言われている」
それだけの理由で!?てか神界魔術ってどれだ???
「ちなみに、君が習得している神界魔術は、【魔法生成】だ。それは、君が倒した魔王が、自分を倒したものは神界魔術とレアスキルを与えるようにしていたからだ」
えっ、あれ、そんなすごいスキルだったのか。まぁ、制限あるとはいえ、かなり凄いスキルだもんな、魔法を作るって。
「それで、
「確認させてほしい。ニーナ達がいる世界に一旦帰れるのか?いきなり言われてなにも準備もしていないのに冒険はちょっとキツイんですけど。あと、かれんや麻央もいるし」
「その点については配慮しよう。今から30日後、ここへまた呼ぶ、それでいいか?」
「分かった、じゃあ答えはその時に」
「では、話が変わるが、この愚かな手段を使ったこの者をどう処罰するか希望はあるか?ん?いない」
"この者"とは、ニーナをさらった奴のことだ。
「好きにしてくれ、もし俺が会ったら一発ぐらい殴ってしまいそうだがいいか?」
「問題ない。むしろ殺しても文句は言わない。仮に殺したとしても、罪人にならないよう、こちらで上手く処理しよう」
え、神様こわ。
「い、いや、それはさすがにね」
「殺すということは、つまり冥界へ行くということ。なら、冥界に行く直前にこの神界へ引きずり込めばいいだけの話。むしろ探す手間が省けて助かるってことだ」
え、死人もここ来ることできるんすか!?てか、[むしろ助かる]って、さっき王城でも聞いたような・・・
「ま、まぁ、多分殺しはしないと思います」
「そうか。あぁ、そういえば、もう1つだけ話してもいいか?」
「えぇ、特に問題はないですけど」
なんだろ?
「魔王の子どもを拾ったんだな」
「え!?あ、は、はい。ま、まぁ」
流石だなぁ。なんでもお見通しってわけか?
「今後も育てていくつもりはあるか?」
「はい」
育てるって、麻央は今はまだ寝てただけだけどね。
「・・・分かった。では、そろそろ帰るか?」
え!?それだけ???まぁいいか。
「では、あの時計塔のところに帰してください」
「わかった。では、時間差がないよう、こちらに来た時間に帰そう」
時間越えるとかすごいな。
━━━━━━━━時計塔
「おっ、帰ってきたな」
さて、ニーナたちはどこだ?時間がそのままってことはこの辺りにいるはず。あ、いた。
「おーい、ニーナ、大丈夫か!?」
体をゆする。
「うにゅ・・・え、お兄ちゃん?ホントにお兄ちゃん??」
まだ現状が把握できてないのかな。
「あぁ、そうだよ、またせたな。秘書さん起こして、王城へ帰ろう」
「うん!」
「すみません、私がいながら誘拐など・・・」
「なぁに、気にすることないよ、実害はなかったんだし」
「ねぇ!お兄ちゃん!あそこ行こ!」
うわっと、いきなり裾引っ張れてこけそうになった。あぶね。
「あ、ニーナ様!」
「秘書さん、大目に見てやってください。暗くなるまでには帰りますから」
「ですが・・・」
「子どもは遊ぶのが一番なんですよ。ほら、見てください、あんなに楽しそうな顔してます」
そこには、目をキラキラさせながらどこに行こうか考えているニーナが。
「それでね、次はあそこに行って、あっ、あそこもいい!うーん、迷っちゃう」
「・・・分かりました。城の者には私が上手く伝えておきます」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます