コスジョ。

第1話 出会っちゃいました

あれはよく晴れた土曜日だったと思います。

金曜日の夜、翌日は休日だからと調子に乗って深夜３時頃までゲームをやり続け、家族がゴルフや習い事、部活で出払った静かなリビングに降りてグダグダとトーストを貪っていた時、たまたまつけていたテレビ番組から流れたのです。

「コスプレ」という単語が。

画面には日本で異常者と思われないように生きるためには様々な弊害が出てきそうなほど大量のフリルで飾られた「魔法少女ルンルンるるんぶ」の「ルンちゃん」の衣装をきた女性がインタビューを受けている姿が。朝からピンク色のツインテールとピンク色の衣装は目にとても眩しくうつりました。あの時、ぼーっとしてトーストから雑に乗せたチーズが太ももに落ちて火傷したのでよく覚えています。

「本日は池袋で開催されている第25回夏のコスプレフェスに来ています！今日も30度を超える猛暑日ですが、色鮮やかな衣装をまとったコスプレイヤーさんたちで大変賑わっております！とても可愛い衣装ですね！この後のイベントにも参加されるんですか？」

レポーターの若い女性が、終始営業スマイルで「ルンちゃん」レイヤーさんにマイクを向けてコメントを求めていました。

「ありがとうございます！衣装が今朝完成したので間に合って本当に良かったです！この後は広場の方でコスプレ撮影ショーに出ます。他にも人気のレイヤーさんがたくさん出ますので是非見にいらしてください！」

「私も後で見に行きたいと思います！人気コスプレイヤー、「カレン」さんとお伝えしました〜！皆さんも是非お越しくださ〜い」

普段の私なら「ああ、このアナウンサー絶対こんなオタクイベント暑くてかったるいって思ってるよ」なんて下劣なことを思うのですが、この時ばかりは「カレンさん」に釘付けでそれどころではありませんでした。

「コスプレ・・・。こんなイベントがあったとは・・・」

日本もまだ捨てたもんじゃない、そう思いました。

トーストの耳を残したまますぐに部屋に戻り、パソコンで「コスプレ」とは

なんぞやとWiki○diaで検索をかけました。関連で画像も沢山みました。

もちろん「カレンさん」も。華奢な彼女は女児向けのアニメ作品のキャラクターをメインにしているようでしたが、過去には少年キャラもこなしたようで、どれも私の目の保養になり、一瞬でファンになりました。

「おっふおっふ・・・ナンテコッタ」

こうして地味メガネ、中の中女子中学生「越野縫美」のコスプレ成長ストーリーが始まりました。