第5話 Create the Shadow
ついにこの日がやって来た。今日はカレンが提供したメビルの座標を頼りに、シャドウ3人で殴り込みに行く日だ。
「いよいよだな」と秀人。
「頑張ろうね」と留無。
「気を抜かないようにな」と俺。
「みんな、頑張れよ」と藤々さん。
「しっかりな」とカレン。
俺たちは一丸となって任務を果たす!
車で移動して、そこから数十分歩き、目的の施設に到着した。
「行くぞ、みんな」
俺の一声で一斉に動き出した。道中で小型、中型のメビルが襲いかかってくるが、持ち前の連携プレーで難なく突き進んでいく。いい感じだ、これならいける!
「おう、シャドウが勢揃いしているな。ご苦労なこった」
部屋に入ると、そこにいたのは一体の古ぼけたメビルだった。
「私は君たちの敵、ファンクだ。独裁国家ファンクの政治家や研究者を皆殺しにして自らをファンクと名乗る、哀れな一体のメビルだよ、、、!」
なんだか既視感があった。それは秀人も同じらしい。俺たちはこいつに一度殺されて、、、
「考え事をしている場合かね?行けっ!」
1人の人影がこちらに急接近してきた。
「うおっ、あぶねっ、、、」
その人影は1人のシャドウのもののようで、脚に影をまとわせて、こちらを蹴りつけてきた。そして、そのシャドウにも既視感があった。それは2人も同様だった。俺たちには既視感の正体が分からない。どうして見覚えがあるのだろう、、、だが思い出す間も無く、攻撃は次第に勢いを増していく。
「ははは!どうだ、私の生み出したシャドウ、リクは!圧倒的だろう!」
俺はリクという名前も聞き覚えがあった。ファンクは自信満々に語る。
「しかもただのシャドウではない、特殊能力を持ったシャドウなのだ。さあ、リク、その力を見せてやれ!」
「Follow the Shadow」
、、、
「なんだ、何も起きないぞ?」
拍子抜けする俺だったがすぐにリクの強さが明らかになった。
「Create the Shadow!」
すると突如地響きがして、部屋の中に砂が流れ込んできた。天井も突き破られ、太陽の光が差し込む。そしてなんと外にいたのは砂場先生と思わしき人物だった。
「砂場先生?どうして、、、?」
状況が読めず、俺と秀人は困惑した。すると留無は、
「迷ってる暇はないよ!りっくんをどうにかしないと、、、りっくん、、、りっくん?」
やはり彼女にも既視感があるらしい。明らかに動揺している。彼、藤々陸は俺たちとレジスタンスで行動を共にして、短い間だったがいいやつだということは分かった、、、?なんだこの記憶は。まさか、、、
「りっくん?ねえ、りっくんなの?」
留無は俺たちより先に彼のことを思い出していた。
「りっくん、一緒に戦ってくれてありがとう。一緒にご飯を食べてくれてありがとう。一緒に笑ってくれてありがとう。、、、最期に頭を撫でてくれてありがとう、、、!」
俺も続く。
「なあ、陸。お前はいいやつだった。一緒にいた時間は短かったけどな、それだけは分かるぜ。だから、よう、お前も思い出してくれよ、、、!」
秀人も俺に続くように語りかける。
「俺も登と同じでお前のことにはあまり詳しくない。だけどレジスタンスのメンバーからあんなに頼られて、しかも強くて、そりゃもう質実剛健のいい男だったよな。まあ自覚はなかったかもしれないが、、、」
すると、次第にリクの攻撃の手が緩んでいくのが分かった。突然現れた砂場先生もいつの間にか消えていた。
「俺は、、、」
「おい、どうしたのだ、私のシャドウ、リクよ!早くこいつらを、、、」
「俺は藤々幹の一人息子、ただの、特殊能力を持って生まれた、ただのシャドウ、藤々陸だ!」
俺たちはようやく思い出した、あるはずのない記憶を。いつの日か見たあの光景を、、、
「お前の野望もここまでだ、ファンク!お前は俺が倒す!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます