第7話 フェザーというメビル
私はメビル、ただのメビルだ、、、と思っていたのだが、どうやら周りにいる普通のメビルとは違うらしい。私には意思があった。だが、それらには意思がなかった。話しかけても触ってもなんの反応もなかった。だが表の世界にいる間、私がそれを疑問視することはなかった。私はそれらと共に行動した。普通のメビルに紛れ、任務を遂行し続けた。それらがするように、私も同じ事をした。何故だろう、私は自由に動けたはずなのに、、、自由を謳歌することも出来たであろうに、、、
私は反転虚構に来てから変わった、と自分でも思っている。自覚はあった。頭が冴え、思考もスムーズになった。それが反転虚構に来たからなのかどうかは分からなかったが、とりあえず彼女に名前をもらったときは、正直嬉しくて飛び上がりそうだった。だからこそ、今がその時、恩を返すときだ!
「メビルゥゥ!!」
「くっ、、、」
こいつを狂気に駆り立てたのは私だ、いや正確に言えば私もその一部なのだろう。私の行動が一つ違えば未来は変わり、今頃こいつは戦地で死んでいたかも知れない。穏やかではないし、安らかでもないが、人間の尊厳を保ったまま死ねていただろう。だから、今、ここで、私が、終わらせてやる、、、!
「ふんっ!」
私のレーザーが彼の右腕を捉えた。だが、それでも彼は止まることなく動き続け、攻撃の手を休めることはない。
「メビルゥゥ、、、メビルゥゥ!」
おそらくメビル殲滅の意思が一人歩きしているのだろう。表情から彼の苦しさが伝わってきた。
「くっ、、、」
一発貰い、一発与える、そんな戦いが繰り返され、やがて、私は一つの結論に辿り着く。このまま無善虚構ごと破壊してしまえば丸く収まるのではないか、と。
「じゃあな、カレン、、、」
私は自爆という選択肢を取り、それを実行に移した。短い生涯だっただろうか、だがワールドジャンプ後の、自分で決めた目的のために動けたのは幸せだった。私はそこにいない彼女に別れを告げるとこの世とおさらばした。
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