第16話 運命

私は城々留無、今現在19歳。職業、アイドル。

「おい城々、また宿題忘れたのか。これで何度目だ?」

「すいません、ここのところ仕事が忙しくて、、、」

「ファンクの崇高な目的のためとはいえ、少しは勉学にも力を入れたまえよ。アイドルには教養も必要だからな」

先生はそれ以降何も文句を言わなくなった。全ては私に勉強を教えてくれた、運命の人、藤々陸のお陰である。

「りっくん、おはよ!」

「城々、おはよう。今日も元気そうだな」

「うん!今日もりっくんの顔見られて嬉しい!」

すると彼はいつも通り少し恥ずかしそうに、気づかれないように頬をかいた。もう、ばればれだって、、、そんな忙しないけど喜びに満ちた日常がずっと続くと思っていた。

「現在、街中で謎の機械たちが暴れている模様!周辺住民は急いで避難を、、、うわぁ!」

無駄に広い自宅のテレビは、近所の駅が炎に包まれる様子を報道していた。ただ事ではないと判断し、私も外に出たら、、、

「私はカレン。あなたは城々留無。お互いに名前を知った。これでもう私たちはお友達だよなぁ!?」

そう言う謎の少女は、私をさらってどこか遠くの安全な場所に連れて行き、こう告げた。

「運命の人を助けたいなら、使命を全うしなきゃなぁ。藤々陸は人質に取らせてもらった。まずは、ここで人間の足止めをしてもらおうかぁ?」

私はそれからシャドウという兵器に覚醒して、多くの人間を殺した。女の人も、子供も、、、全ては人質に取られているりっくんのために、、、だが、それは徒労に終わる。

「りっくん、、、?」

「城々、久しぶりだな。2年ぶりか?」

どうやら藤々陸は無事だったようだ。もしかしたら人質に取られているというカレンの言葉は嘘だったのかも。ほっとしたのも束の間、私は今まで殺してきた人たちの言葉を思い出した。「悪魔だ、、、」と、、、だがみんなは、藤々陸たちレジスタンスのメンバーは違った。それは私が人殺しだということを知らなかったからなのかも知れない。だが、私は優しい言葉をかけてくれた彼らを受け入れた。カレンはおそらく私に嘘をついていたのだろう、だけど、もう一度、もう一度だけ、誰かを信じてもいいよね、、、?


留無は俺を庇って死んだ、俺を庇って、、、

「まだ、、、だよ、、、」

「留無、無理して喋るな!今止血を、、、!」

「りっくん、、、」

留無は最後の力を振り絞り、

「最期に頭、、、撫でてほしいなぁ、、、」

と伝えてきた。俺は涙を浮かべながら、その願いにすすんで応じた。意識があったかどうかは分からない。だが、最期の彼女の表情はとても幸せそうだった。

「ああ、ああ、ああぁぁ!」

最後の1人になった俺はあまりにも無力だった。人間がなんだ、武器がなんだ、シャドウがなんだ、、、何も出来ないじゃないか、、、!空に浮かぶ太陽は相変わらずさんさんと光り輝き、あの時とは違い、まるで俺をあざ笑っているかのようであった。

「うおお!」俺は気がつくと、左ポケットに入りっぱなしになっていた、古びた短剣を取り出していた。こんなことで一体何が出来るのか、仮に俺1人が生き残ったところで何が出来るというのか。だが、俺はすがるようにその短剣を握りしめる手に力を込めた、、、!

「Follow the Shadow!」

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