第8話 再会
「敵襲だー!敵襲だー!メビルとの戦闘を開始する!」
聞き慣れたサイレンの音で、レジスタンスは照の開発したレーザー銃を携えて戦車の外に出る。そしてその中には俺も含まれていた。いつも通りメビルの掃討に向かうと、いつもとは違う光景があった。
「おい、人間共!これが見えないのか!?」
なんとそこには人語を話すメビルがいたのだ。そしてその傍らには銃口を突き付けられた親父がいた。
「抵抗すればこいつは俺が!今ここで!抹殺してやる!こいつはいい情報を持ってるからここで殺されると困るだろう?」
くっ、なんてことだ、親父には聞きたいことが山ほどあるのに。そしてそれはレジスタンスも同じようだった。
「おい、あれはレジスタンスの創始者『藤々幹(とうどうみき)』じゃないか?」
「今あの人に死なれたら困る!」
意思を持つメビルはこう続けた。
「今ここにいる人間を30人差し出せばこいつを解放してやる!どうだ?いい条件だろう?」
なんて無茶苦茶な条件だ!?こうしてはいられない、と思い、いつの間にか俺はそのメビルに立ち向かっていた。
「くっ、人質が見えないのか、貴様?正気か?」
「うおお!」
俺はレーザー銃と、また別のビームナイフを武器に果敢にメビルに挑んだ。だが、そのメビルはまるで自身の弱点となる部位を正確に把握しているかのように防御しながら、俺を殴る、蹴る。
「ふはは!言い様だな」
俺は太刀打ちできずにタコ殴りにされていた。周りのレジスタンスのメンバーも他のメビルと戦うので手一杯なようだ、こちらを手助けする余裕がないらしい。
「く、ぐあっ、、、」
意識が混濁していく。その最中、俺はあの老人に言われたことを思い出していた。
「お前が本当に身の危険を感じた時、この短剣を握って、、、」
俺は、ずっとズボンの左ポケットに入っていた短剣をポケットに入れたまま握った。すると、あの言葉を唱える間も無く、、、
「うおお!」
突然、俺の両脚が影に覆われて漆黒に染まっていた。さんさんと降りしきる太陽の光は俺のことを応援しているかのようだった。
「なんだ、こいつは!?表情がさっきとはまるで別人、、、」
「てりゃぁぁ」
俺は脚の違和感がいつの間にか心地の良いものに変わっていくことに気づいた。そして気がつくと「覚えてやがれぇぇ」と言いながら退却する謎のメビルを見送っていた。
俺は、うおお!という歓声と、シャドウだぁぁ!という喜びの雄叫びを聞いた。そう、俺はいつの間にかシャドウに覚醒していたのだ。
「ありがとう、助けてくれて」
俺は親父を助けることもできた。
「久しぶり、親父。助けるのは当たり前だろ?怖がられてた俺を、頑張って育ててくれたんだからな」
俺たちレジスタンスは親父の幹を加えて、領地奪還の指令を受けて新たな旅に出る。ポケットに入ったままの短剣を握りしめながら、、、
残
り
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