第6話 メビルウォー

「メビルウォーは3年前起きた。独裁国家ファンクが戦争のために作り出した意思を持たないはずの機械兵メカデビル、通称メビルが突然暴走して人間への反逆戦争を始めたんだ」

俺はこの時点で、さっき俺を襲ったのがメビルだと悟った。

「その戦いの影響で地表は砂漠化して、結果的に人類の生き残りは今ここにいる98名のみとなった。そして俺たちは生き残ったメンバーでレジスタンスを結成したんだ。まぁお前含めて99名だけどな。俺たちは他に生き残りがいないかずっと前から調べてるんだが。そこでちょうどお前を見つけたってわけだ。いやぁ、僥倖僥倖」

「そうか俺の意識のないうちにそんなことが、、、」

照は心配そうにこちらを見つめてきた。

「大丈夫か、お前。ちょっと顔色悪いぞ。一応この戦車に乗ってる医者に診てもらえ。そう、そこにいるスミスにな」

「ああ、俺は医者をやっているスミスだ。改めてこれからよろしくな」

俺は未だに混乱していた。だがなんとなくわかってきた。俺はおそらくあの時交通事故に巻き込まれ、昏睡状態になって、戦争に駆り出されずに済んだのだろう。あの時の親父の書き置きを思い出して、メビルの問題がただごとではないことは分かった。

「俺は藤々陸。こちらこそよろしく」

その後、俺は乗組員に挨拶回りをした。

「俺は藤々陸、よろしく。お前は?」

「おいらはサム、サム兄さんとでも呼んでくれたまえよ」

「よろしくサム」

「いや、だから、おいらはサム兄さんと、、、」

めんどくさそうなサムは置いておいて、ええっと、あとは、、、

「俺は藤々陸、よろしく。お前は?」

「私はフランクリン、フランクリンでもフランクでも好きに呼んでちょうだい。これからよろしくね、陸」

「よろしくフランクリン」

なんだかサバサバしてる女性だな、人当たりは悪くなさそうだ。

「ねえ、陸。ちょっと話があるのだけれど、、、」

「ん、どうした、フランク?」

「あなたシャドウって知ってる?影を使って戦う超人的な能力を持つ戦士のことよ」

「シャドウ?初耳だな」

「私、実はシャドウについての伝承をこっそり読んでいたの。メビルウォー前から誰にも見つからないようにね。すると驚くべきことが分かったの!それは、、、」

「それは、、、?」

「シャドウは普通の人間が突然変異でなれる可能性もあるらしいの!だから私たち99人のレジスタンスの中にもいるかも知れないって話よ!」

正直なところ、だからなんなんだという感想しか湧いてこない。そもそもそんなおとぎ話のような伝承を真面目に信じているなんて、レジスタンスも相当追い込まれているのだろう。だが、指揮を高めるためには、時にはそういう心の拠り所ってやつも必要かもなと思い、とりあえず相槌を打って話を合わせておいた。






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