第4話 時の流れは存在しない

あれ?ここはどこだ?俺はさっきまで通学路にいて、交差点に入って、、、まさか交通事故にでもあったのか。となると、この真っ暗な空間は、もしかして三途か?やばいな、早く目覚めないと。ファンクもやばそうだし、急いでどうにかしなきゃ、、、俺は足早に歩き始めた。

ところがどこまで行ってもそこには真っ暗な空間が広がり、何も存在しなかった、川も見えない。三途じゃないのか、と思い始めたその時、何も存在しなかったはずの場所に突然家らしきものが現れた。そしてその中から一人の老人が現れた。

「おや、迷子かな。いやいや、私が呼んだのだった。もう歳だな。ちょっとこっちへ来なさい。悪いようにはせんから」

俺は促されるままに老人について行き、その家に入った。

「やあ、ここが我が家だ。お茶でもどうぞ」

老人は丁寧に湯呑みに入ったお茶とお茶請けを差し出してきた。

「ここには特に何もないが私から話がある」

「いや、流石に何もなさすぎではないですか。カレンダーはおろか、時計すらないですよ。ミニマリストってやつですか?」

俺は初対面なはずの老人にフランクに話しかけていた。何故だろう、実家のような安心感がある。

「人間は時間の奴隷だからな、これくらいがちょうどいいのじゃ」

老人はそう言うと、俺の方に体を向けて真剣な口調で話しかけた。

「お前に頼みがある。世界を救ってはくれないか」

「はい?」

俺は困惑した。確かにファンクは今から動き出して大変なことになるとは思うが、何故俺にそんな話をするのかと。

「お前が本当に身の危険を感じた時、この短剣を握って…… … ……と唱えるのだ。よいか、…… … ……だぞ?」

「2回も言われたので流石に覚えましたよ」

俺はいつの間にか当然のように老人から言われたことを了解し、短剣を握っていた。

「それならば良い。さあ、そのベッドで眠りなさい」

俺は促されるまま木のベッドに横になった。そして意識は闇に落ちて行った。

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