第2話 普通の高校生活

日は沈まないが、眠る分には特に問題はない。俺は明るい方がむしろよく眠れる、多分。

翌日、俺はいつも通り高校に赴いた。今日も快晴。雲一つない青空とはまさしくこのことだろう。肌寒く感じる時節柄だが、日差しはポカポカしている。昨日の一件もあって駅には警察官らしき人たちが巡回していた。すると電車の中で1人の少女から話しかけられた。

「昨日はありがとうございました!」と一言、すぐに隣りの車両に行ってしまった。俺は、本当はどうして欲しかったんだろう。お礼を言われて満足なはずなのに、少し虚無感が訪れた。

「おおい、陸ぅぅ!おはようなりぃぃ!」

校門を通過し、いの一番に声をかけてきたのは照(てる)という俺の親友だ。機械いじりが得意なオタクである。

「おはよう、照。今日も元気だな」

「もちのろんよ!今日もお前の顔を見られて嬉しいぜ!」

「なんだよ、気持ち悪いな」

「気持ち悪いとは失礼な!本心だぞ」

このように非常に陽気である。

キーンコーン。

「あ、チャイム鳴ったな。また後でな!」

「ああ、またな」

照とは別のクラスで授業を受ける。

「えー、2202年現在わが国ファンクでは道路整備などのインフラに力を入れており、、、」

いつも通りの授業風景。先生は相変わらずファンクを贔屓している。まあ、国立の高校だから無理もないか。教師陣にはファンクの信者が多いようだが、肝心の生徒はほとんど自分中心で高校生活を送っているようだった。

「おはようございまーす!」

突然授業中に女子の挨拶が響き渡る。

「おお、城々、おはよう。今日も活発だな。我が国ファンクのための活動お疲れ様」

「いえいえ〜。こちらこそお疲れ様です!」

たった今教室に入ってきたのは同じクラスの城々留無(しろきるな)。見た目が変わらない俺に対してもまともに接してくる数少ない人間である。

「あっ、りっくん!おはよっ」隣の席に腰掛けると小声で話しかけてきた。

「今日もファンクのアイドル活動がたいへんでさぁ」

愚痴をこぼしてきた。一応耳は傾けておいてあげよう。彼女も大変みたいだし、、、

「ふむふむ、ここの問題、りっくんはわかる?」

「うん、一応、、、」

いつも通り彼女に現代社会の解説をしてあげる。

「おお!さっすがりっくん。今日も冴えてるぅ」そうか、満足したか、それなら良かった、良かった。だったら俺も普通に授業を、、、

「藤々!この問題分かるか?」

あ、やばい。城々に構ってたら授業がおろそかになっていた。大ピンチである。すると城々が

「先生!藤々くんはめまいでちょっと頭が働かないみたいです。なのでここは私が、、、」

ナイスだ城々!助かった!後でジュースでも奢ってやらないとな。


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