第3話 幼稚園

 4歳になった私は地元の幼稚園に入りました。

 入園式の当日は「嫌だー、幼稚園行かないー!」と言って怒ったそうです。

 私は怒った事すら覚えていませんが、実は、入園式の日は私の4歳の誕生日でした。

 余談ですが、「卯月みお」というペンネームの「卯月」は4月生まれだというのが由来です。

 母は「幼稚園終わったらちゃんとお誕生日するから!」となだめすかして連れて行ったそうです。

 記憶が薄れてきているのですが、確か、幼稚園に着いてからは怒っていなかったと思います。

 それからは、楽しかったです。

 友達も何人かいて、仲が良かった子の家にお邪魔したり、逆に遊びに来てもらったりしたのは今でもいい思い出です。


 でも、楽しい事ばかりではありませんでした。

 同じ組にある双子の兄弟がいて、その子たちはお寺の子でした。

 お兄ちゃんのDくんは普通の男の子なのですが、弟のYが曲者くせものでした。

 それも、Yは障害を持っているようにしか見えないのです(幼稚園の頃は気がつきませんでしたが、今考えるとどう見てもそうでした)。

 しかも、兄弟のお母さんも何か変なんです。

 例えば、「うちは○○幼稚園(地元の私立幼稚園)に落ちたから仕方なくここに来た」と言ったり、

「○○ちゃん(私)はアスペルガー!」と周りに吹聴ふいちょうして回ったりしました。

 極めつけは、私がYに腕を噛まれた時の事です。何て言ったと思いますか?

「うちの子は悪くないから謝らない!」

 ですよ?

 いや明らかにおかしいでしょ。

 Yは「加害者」私は「被害者」です。

 加害者が謝らない?

 じゃああんたは交通事故を起こしても「そんなとこを歩いてるから悪い! 私は謝らない!!」って言うのか!?

 母いわく、私は痛くて泣いていて、噛まれたところがしばらくあざになって残っていたそうです。

 結局、この件は今でも謝罪してもらっていません。

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