逃避行始めました
とても長く感じたクロウさん救出劇。
屋敷の中はドタバタと慌ただしくなり始めてるけど、こちとら気分だけなら隠密のプロ。
再度、興奮するチビうささんをヴァルさんと一緒に頭に乗せて調理場まで行く。
帰りも通気口。
心配なのはクロウさんがここを通れるかだ。
とりあえず入ってみないと分からない。チビうささん、ヴァルさん、僕、最後にクロウさんの順で脱出していく。
結果はやはり詰まってしまいました。
途中までは強引ながら進めてたけど最後の最後で引っかかった様子。
どうしたもんかと悩んでいると、とうとう事典が勝手に主張してきました。
開いたら残念なことにやっぱり神様。
内容はこちら。
・旦那様お悩みのご様子ですねー。そんな旦那様に気配り上手な良妻神様が一肌でも全裸でも脱ぎましょう。なので、何卒さきほどのお約束は忘れずにですよー。ではこちらをどうぞ、『とてもヌルヌルとした液体(無添加無香料)』ですドーン!それで滑りが良くなりスルリと抜けること間違いなし。ではではお約束の件は必ず絶対確実に忘れないでくださいねー。
どう足掻いても膝枕を回避することは難しいようだ。
収納庫を確認すると、リストの中にヌルヌルとした液体が入っていた。
早速取り出すと、半透明な液体が入った瓶が出てきた。少し手の甲に垂らすと本当にヌルヌルとして気持ち悪い。
でも、これだけ滑りやすければクロウさんも抜け出せそう。
物珍しそうに液体瓶を持って眺めるヴァルさん。
「吾輩がやってみてもよいであるか?」
チビうささんに負けず劣らず好奇心旺盛なヴァルさん。
この黒炎の終焉竜ちゃんの特性上任せてはいけない気がする。
しかし、止めるよりも早く瓶を抱えて駆け出す。
トタトタトタのコケッからのヌチャァ。
効果音から察してください。
結果だけ見ればクロウさんは無事通気口から抜け出すことが出来ました。
「うぅ…べとべとぉ…。」
成人男性が身体中をべっとべとにして涙を浮かべている。
ど、どんまい…今のクロウさんは誰よりもヒロインっぽいよ。
と、それよりも苦笑いをしている場合ではない。地下の異変に気付いた人達がここにやって来るかもしれない。僕はヌチャヌチャな手を取りすぐさま夜の帝都を走り抜ける。
クロウさんの身体から散布される液体で道行く人達が滑っていく。ごめんなさい。
そして、僕達は帝都を脱出した。
これからはううんこれからも僕らは追われる身となった。
さてどうしよう…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます