神様の願い
王ちゃんに折檻部屋へと連行されてようやく開放されました。
そこはかとなくこの可愛くてチャーミングな私を馬鹿にしてそうな人もいる気がするので雷を落としておきましょう。
さてさてお説教の間に溜まった仕事を片付けますよー。
今日も元気に世界の安寧を守っていきます。
この神様の辞書には反省という単語は残念ながら載っていない。
ですので、ちょっと疲れた息抜きに愛しの旦那様(確定)のコータさんを眺めるとしますか。
ポチッとな。
神様としての力を使って創造したモニターで今日のコータさんを鑑賞。
あ、これは無駄遣いではなくて必要悪なのでセーフですよー。
確かまだ帝都に居るはずです。王ちゃんのせいで折角の涙の再会を果たしたのに邪魔されましたからね。
どこかなどこかな。
………発見!
お城の地下室。
コータさんがいつにも増して真剣な表情でアバズレ共と相対してます。
じゅるり、はぁはぁ素敵ですねー。
いつまでもそれこそ永久に永遠に観ていられます。
それにしても、コータさんに迷惑をかける女共です。
幾ら好きだからと逃げられないよう拘束するなんて愚の骨頂。本当に愛しているなら手助けこそして嫌がる事をしてはいけないでしょう。
全くこの良き妻代表の私を見習ったら良いのに。
なにか文句でも?
神様は色んな何処かでお前が言うなと聞こえた気がして睨み付ける。
そんな中、可愛い私に誰かの懸命な想いがひしひしと伝わってくる。
コータさんの親友で仲人候補のドラゴンから。
ふむふむなかなかピンチのようですね。
もう一度力を貸して欲しい、ですか。
うーん、私は仮にも偉大なるキュートでチャーミングで可愛い神様ですからねーそう簡単に力を与えるなんてしたら駄目なんですけど。
「えー、今回はコータさんの危機って訳では無いですからねー。正直手助けしたくないですけどねー。」
ちょっと渋る。
それでも助けを乞う仲人兼司会進行。
力を与えるか悩む可愛い私はピピンと近年稀に見る閃きが冴えわたる。
ぐへへへとついつい女神の微笑みを浮かべる。
それでは前は急げとコータさんの思考の世界へ。
ちょうど雌2匹と壮絶な激闘を繰り広げていますが時間を止めてお邪魔します。
「こんにちはコータさん、貴方の妻がやって参りましたよー。」
「げっ!?」
あれ酷くない?
「もうあなたったら出会い頭にうめき声は酷いですよー。」
「す、すみませんつい…。あと結婚してないです。」
「まぁまぁそれはとりあえず横に置いといて。緊急事態ですよー!あなたのお友達がピンチの大ピンチです。」
「えっ!ど、どうしよう助けないと…。」
慌てふためくコータさんも素敵。
妻として助けないといけませんね。
「コータさん私にお任せを。丁度あの子にお願いされましたから。」
「え、本当!あ、ありがとうございます。」
ふふ、気が早いですね。
「ですが、私の神様としての力を貸すにはそれ相応の代償が必要です。あの子に払えるのでしょうか?」
「代償?それなら僕が払います、だからヴァルさんのフォローお願いします!」
待ってましたその言葉。
へっへっへ、涎が止まらないぜですよー。
「分かりました。では代償ですが………30分間無抵抗膝枕権です返品&拒否は不可ですでは行ってきやすよー!」
ここで返事を待つのは素人。
助けてしまえばこっちのもの。
さあ、大人しく助けられなさい。
哀れな子羊は邪悪なる悪魔との契約により友の危機を救う事が出来た。
だが、彼が戦闘中にも関わらず膝から崩れ落ちたのは言うまでもない。
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