ヴァルさんVS褐色&ロールさん2
吾輩は終焉の黑炎竜。
知る人ぞ知る恐怖の対象であるはず、最強種として君臨していた。
なのに、最近はこの自信が揺らぎ始めた。
兎女で吾輩の自信にひびが出来てコータに癒やされ、そしてまた目の前の二人組に割られそうである。
人間とは脆弱な生き物、これは我らの世界では一般常識。でも、それは覆されるだろう。
近頃の人間は何千何万と焼き殺すドラゴンブレスを拳とくるくるの髪で防ぐことが可能。
学会で発表すれば大騒ぎ間違いなし。
「どうした、おチビ?俺らの愛に恐れ慄いたか。だったら、ここを去りな。これからがお楽しみな時間だからな。」
「おーほっほ、おーほっ(そうですわ、今から旦那様を喰らうのですわ。)。」
この外道め。
あそこでいやぁと涙目でうるうるするクロウが目に入らないのか。
ここは吾輩の秘技ヴァルさんアタックでケリをつけてやる。
身体を丸め脚力を爆発させた。
風を超え音を超え、回転を加えて威力も上げてあの時以上の破壊力を込めて突進。
一つだけはっきりと分かるのはこいつらは兎女よりかは弱い。
だから、あやつみたいに両腕で受け止めることなど不可能。
勝つる、吾輩の頭に過ぎった。
しかし、二人は笑う。
愛の力を纏った強者の笑み。
刹那に近い時間の中、ロールさんはご自慢のロールを迫りくるヴァル弾に絡みつく。
それは回転を殺し勢いすら弱めるには十分。
ヴァル弾は驚き目を見開く。
髪の毛って凄い。
勢いが消えただのヴァルたんは驚きの表情のままガッと掴まれた。
「一対一ならおチビの攻撃も届いただろうが残念だったな。こいつの髪の毛は特別製だ。」
「おーほっほっほっほ(旦那様を想い髪を鍛え上げてきた甲斐がありましたわ)。」
吾輩をわし掴む腕に徐々に力が込められていく。
万事休す、これまでか…。
もう一度あの時のように力が湧いてくれば。
虫の良い話であるがどうかあの時の誰かよ、吾輩に今一度力を与えてくれまいか。
吾輩の決死の想いはどこかの誰かに届いた。
『えー、今回はコータさんの危機って訳では無いですからねー。正直手助けしたくないですけどねー。』
今日の誰かは存外に無慈悲。
頼む、友を救いたいのだ!
吾輩に伝わるミキミキと来る痛み。
それでも構わず願う。
『んー………仕方ないですねー。ちょっと待ってて下さい、交渉してきますから。』
少し待つこと1と0の世界。
『いよっしょあ交渉成立!!膝枕権ゲットですぜー!さあさあいっぱいあげますよー。おまけのおやつもつけちゃいますよー。』
よ、よく分からぬがまた力を貸してくださるようだ。
そして、吾輩は輝き放ち今まで以上の力が身体中を駆け巡り始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます