ヴァルさんVS褐色&ロールさん



クロウさんを押さえ込んでいた5人の内4人が僕らの相手をするためベッドから離れた。

これならクロウさんそのまま逃げれるのではと思ったけど、よく見ると足首に枷がはめられ鎖をつたって行けばあの大きな鉄球があった。


ただでさえ身動き出来ないのに四肢を固定してたんだ。

彼女達の愛はどこまでも重い。



引き気味の僕達の前に4人が構える。

すると、ヴァルさんも僕の頭から飛び降り相対する。


「ヴァヴァ、ヴァルルヴァルルル(吾輩があの肌の色素が濃い方と顔の両端にロールパンを付けたやつを相手するのである。コータは残りを頼む。絶対にクロウは渡さんぞ!)」


ヴァルさん、鳴き声と台詞の文字数が合っていないよ。

目の前の人間達は只の人間であらず。

ドラゴンさんであっても余裕がないのかもしれない。


僕も油断しないようにしよう。僕は人外認定されているけどあちらも怪物、良い勝負だね。



危険な戦いになると思う。

だからチビうささんはちょっと隅で見守っててね。

頭からひょいと降ろして、ヴァルさんは褐色&ロールさんへ。

僕はエルザさんとロアナさんの前へ。






吾輩は目の前の敵を見上げる。

どうやら吾輩を蜥蜴かなんかと思っているようである。

ふっふっふ、我は終焉の黑炎竜であるぞ、久しぶりにドラゴンっぽい所を見せちゃおうではないか。


元の大きさに戻ればこの地下を崩落しかねない。

だからドラゴンブレスでさっさと終わらせるのである。これを人間が防げる訳が無いからな、そう兎女のような化物は何人もおるまい。


吾輩は殺さない程度の威力でブレスを放つ。




拝啓、ヴァルさんへ。

化物は一匹見つけたら三十匹はいるよ。




「しゃらくせえ(ですわ)!!」


「ヴァっ(なっ)!?」



褐色は右拳を振るい、ロールはロールを振るい吾輩のブレスを相殺した。

奴らは本当に人間であるか?


少なくともあのロールは別の生き物だろう、自分の髪をまるで生きているかの如く動かしておるぞ。



「なかなか良い吐息だったぜおチビちゃん。だが、その程度で俺達の愛は揺らがないぜ。」


「おーほっほっ、ほっほーほ、おーほ(そうですわ、クロウ愛は不動ですわ、おほほ)。」



あの時のように身体を冷や汗が駆け回る。

コータよ、すまぬ。

そう簡単には終わりそうに無いのである。


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