小話 ストーカーの鼻はよく利く2



ミストリアの王都にようやく到着しました。

私の勘がここにいると強く主張しています。

雑踏の中に感じる愛しい想い人の匂いも濃くなっていましゅ、はぅ。



まずは国境の時と同じく聞き込み。

一番手っ取り早いのは冒険者ギルド。

私が入ると人が少ないにも関わらず下品な目つきを向けて口笛を吹いてくる。

本当にコータさんと同じ冒険者のくせにどうしてこうも違うのか。

こっちに近づいて来たら埋め込んでやりましょう。


私の健気な想いも虚しく馬鹿が2匹ニヤニヤと笑いながらやってくる。


バキバキ指を鳴らしながらさぁ潰そうと思ったら、私と馬鹿達の間を立ち塞がるようにディーさんが腕を広げた。


「おい、お前ら死にたくないならこの人に手を出すな!」


「あぁん、なんだてめぇ?その子の彼氏かなんかか?」


「は、ふざけんな…こほん、じゃなくて違う!ちょっと耳を貸せ。」



今少しだけディーさんを殴りたくなったのはどうしてでしょう?


そんな私をよそに男達の肩を掴んで引き寄せて、何か話している。

次第に男達の表情が肌色から青色に変わっていく。


「だから、あの人は…帝で、人を埋め…い物なんだよ。分かったか?」


「「は、はい!すみませんでした!!」」


男達は何故か私に怯えるように走って逃げて行きました。

今とてつもなくディーさんを殴りたいのはどうしてでしょう?



「ディーさん、何を話していたんですか?」


「い、いやただ一般道徳というか触らぬ神に祟りなしというか、まあ気にしないでくれ。」



誤魔化されてる気がしますが、まあいいでしょう。


出鼻をくじかれましたが聞き込み。

またもや大当たり。


コータさんはつい先日達成報告と素材の売買でここに訪れたそうです。

まだこの王都に居る可能性はかなり高い。


それからは本能を頼りに調査を進めオルソン商会の馬車に乗っていたや王城に入城してたなどどんどん情報が入ってくる。



そして、ついに発見。

多くの人々が群れる中に居た私の愛しの天使。


ほんの一瞬の世界で目が合った気がする。

やっぱり運命なんです。



「ミーツケタ。」


ようやくその小さな背中に届…かない。



消えるように何処かへ行ってしまった。

どこに、どこだ!


本能を巡らす。

王都の外だ、コータくんに気付いてなかったディーさんの腕を引っ張って外へと向かう。



私が外へと着いた頃にはもうもぬけの殻でした。


モウテレヤナンダカラ…。


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