漢ヴァルさん



現在進行形で女王様は土下座しております。

そのままドラゴンの姿で良かったのに、僕に合わせたのか人型に戻ってしまった。

誰かに見られでもしたら大騒ぎ間違いないもんね。


今までの振動やら咆哮で騒ぎにはもうなってそうだけど。

え?

そこは心配しなくて大丈夫?


外部には漏れないように色々と施している、そうですか。



僕の余計な心配をよそにヴァルさん達の話は続く。


「ヴァルガルド…ごめんなさい。私は、ううん私達は自分の好きな気持ちを優先し過ぎて貴方の気持ちを蔑ろにしていたのね。」


初めてちゃんと反省している女性を見たような。

ドラゴンという種族はなにかと潔い。

自分の非を認める、そんな当たり前のことを出来るイザベラさん。

最初は我儘を貫き通す横暴な方かと思ったけどまだまともな部類と思える。

暴れる規模は大きいけど。


「でも、心から貴方を愛している気持ちは本当なの。」


「それはこれまでの付き合いから十分に理解しているのである。嫌いになれとは言わない。だから、しばらくは距離をちゃんと置こう。」


「距離を置く?」



「お前は他の者達にもしっかりと吾輩の心の叫びを伝えて接し方を改めて欲しい。吾輩も友との旅の間でお主達との関係を真剣に考える。」


「ヴァ、ヴァルガルド…。まだ機会をくれるのか?」


「うむ、次会えた時また以前のようであればはっきりと縁を切る。吾輩はそのつもりである。じゃが、もしお前達が変われたなら吾輩も今度はちゃんと見てあげれるのである。」


「ヴァ、ヴァルたん!」



感激のあまりガバッと顔を上げて勢いそのままにヴァルたんに抱きつこうとした。


でも頑張った。

ぎりぎりで踏ん張った、偉い。

まだ危ないけどイザベラさんなら変われる気がする。

毎回事典からアプローチしてくる神様とかも同じように変わろうとしてくれるだろうか?

うん、想像出来ないね。


ぐぬぬと堪えたイザベラさんをヴァルさんは少し呆れた様子で頭を軽くポンポンと撫でた。

今はこれで我慢してくれとでも言うように。



イザベラさんはもう一度今度は隠す暇なくぎゃん泣き。



これでヴァルさんのわだかまりは一旦終息へと向かう。

あとは今後に期待ということで。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る