恋愛脳も死には勝てん
この国に訪れて二度目の土下座を目撃した。
でも、妖精さんの里での神様のを入れたら合計で3回かな。
僕はどうやら土下座ととても縁があるようです。
念の為、イザベラさんが地べたに頭をつけるまでの流れを説明しようと思います。
まずは今にもお城のその後を無視するように吐き出そうとしたドラゴンブレスを止めるため、グリーストさんと同じように両翼をサクサクとやります。
もちろんイザベラさんは喜ぶ誰かとは違うので絶叫に近い咆哮をあげます。
次に痛みで大粒の涙を貯めて大激怒する女王さんはめげないでもう一度口を開けてブレスを放出しようとするので、人外認定された素早っこさで距離を詰めまして顎を蹴り上げます。
すると、大きく開いたお口は強制閉口しますのでブレスは不発に終わります。
最後に前足で顎を押さえると思っていたので、後ろ足を払うとクリンと綺麗に回転して仰向けになります。
仕上げに両翼へ披露したナイフを喉元に突き付ければ、はい降伏。
そして完成。
女王さん完全土下座verの出来上がり。
おそらくだけど、これで最強種としてのプライドは打ち砕けたと思う。もうこれに懲りて親友を困らせるのは止めてくれると良いな。
羨ましそうに見つめる誰かを素通りして、とてとてとヴァルさんが僕達の下へやって来た。
チビうささんはイザベラさんが土下座に入った時点ですぐに僕の頭へ到着してたよ。
「どうだイザベラ、この者は強いだろう。吾輩が今最も信頼する友である。あ、もちろんチビうさもな。」
「クックゥー!」
「………ヴァルたん。わ、私のことが嫌いだった?迷惑だった?」
土下座で表情が読めない。けれど声が震えているから泣いているかも。
ヴァルた…さんは少し間を開け考える。
「………嫌い、では無かったである。それは確かだ、お主と出会ってから楽しかった日々もしかと残っているからな。」
「だったら!」
「しかし、迷惑でもあったのである!少しずつ誰かの視線を感じるようになり、それが四六時中にまで及んだ。何処か違う地に飛んでもその視線達は必ず追ってきていたのである。それらがお主達と分かった時、悲しい気持ちと恐怖が同時に来たのだ。」
「私は貴方のことが大好きだから、愛しているから…だから。」
「そうだお主達はそれを盾に監視を止めてくれと頼んでも好きだからと押し通した。一方的な愛の押しつけなど愛し合うに至る訳があるまい。だから、逃げた怖くて逃げたのである。」
ヴァルさんの積もった鬱憤が一気に放たれている。
うん、これは逃げたくなる。
本当に僕とヴァルさんは似たもの同士だね。
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