紅焔竜VS人見知りな人外
僕らの目の前に立ち塞がるのはイザベラさん。
その姿は、先程までの綺麗な赤髪が象徴的なザ・女王様ではない。
大きさの変わった瞳が怨嗟の籠もった炎を宿したままのなのは変わらない。
ここが王城にも関わらず、謁見場の天井に頭がすれすれなほどでかい。
この世界の女性は種族を問わず怖い存在なのかもしれない。
「ヴァルたんを誑かす不埒な輩はこの私が直々に成敗してやる!」
踏み潰さんと僕目掛けて象の何倍もの前足を振り下ろしてきた。
何度も言うけど、ここは王城という建物の中。
ドラゴンさんの些細な攻撃もこのお城が耐えきれると思えない。
現在、ヴァルさん一色のイザベラさんが建造物の耐久性とか考慮している訳がない。
僕は弾き返すつもりで右手を突き出す。
竜と人外の衝突はお城を揺るがした。でも、それだけで済めた。
僕の立っている場所がちょこっとめり込んだけどそれだけ。
「人間風情が私の恋路を邪魔するな!」
「人間だからとか関係ない。僕は親友の困っている姿を見たくないだけだよ。」
「ヴァルたんは困っていない。照れているだけだ!」
恋に盲目すぎる。
後ろで心の底からげんなりしているヴァルさんが目に入らないの?
この度を越した分からず屋をどうにかするには、まずはグリーストさん同様に徹底的に懲らしめるしかない。
そこで取り出したのは毎度お馴染みサバイバルナイフ。
でも、仮にも女性に刃を向けるって良いのかな。ちらりとヴァルさんに確認がてら見つめる。
「良い機会である。しっかりとお仕置きをしてやってくれである。吾輩の数百年にも及ぶ恐怖をイザベラにも味わせてやってくれ!」
ヴァ、ヴァルさん…。
どれだけストレスを抱え込んでいたのだろう。
やったれやったれってオーラが凄い。
積もりに積もったヴァルさんの想いをこのナイフに乗せてお届けします。
お次はドラゴンさんの特技であるブレスを吐こうとしている。今度はこの城が放火に見舞われそうなので急いで真っ赤っかな竜さんに飛びかかる。
2匹目の土下座まであともう少し。
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