女王様の降臨
グリースト戦を終えて、今は王都散策中。
昨日の調査報酬とワイバーンの素材が思ったよりも高値だったため、懐が暖かい。
冒険ギルドにはグリーストさんのことは黙っておいた。
あの山岳地帯にドラゴンさんが居るとなれば色々と大事になりそうだしね。
ましてやそれが現女王さんの下僕?ともなれば尚更。
本当は報告を済ませたらさっさとこの国は去ろうと思っていた。
でも、ヴァルさんが吾輩の為にせっかくの王都観光を無碍にするのは勿体無いと遠慮をしてきた。
僕としては友達の苦しい顔を見るのは嫌だ。
お互いになかなか変な意地を張ってしまい、結果的に今日一日周辺を見て回ることに。
出発は明日の午前中と決定。
とりあえずデザート系は必須。ミストリアで購入を逃したらしばらくは入手が難しいだろう。
歩行者と目が合わないようにしつつ、片っ端から目につくデザートを買っていく。
宿屋で食べたプリンにケーキ。シュークリームも売っている。神様かなり力を入れたんだね。
調査依頼で得た資金を全部これに使ってしまった。
でも、後悔はないです。
気づけばもう真っ暗。
宿屋に向かいましょう。
あそこのケーキ美味しかったからまた同じ宿屋にしよう。
ヴァルさんも片隅にイザベラさんが残っていると思うけど、甘い物を食べている時は楽しそうだったから良しとしよう。
宿屋に着いて晩御飯を食べたら、ではおやすみなさい。
昨日グリーストさんと出会ったからまだ大丈夫なはず。明日の朝一にここを出れば追っても間に合わない…はず。
どうしても確信出来ず胸のわだかまりを残したまま、次の日の朝を迎えた。
食事も早々に宿屋の扉を開けた。
そこには、豪華な装飾に飾られた馬車と人化したグリーストさんが待っていた。
思わず目を逸らしてしまった。
それを糧にまたぞくぞくと身悶えている。
「おはようございます。すぐに宙吊りを解放されて残念なグリーストでございます。女王様がお待ちです。どうぞ皆様こちらにお乗りくださいませ。」
僕らは少したじろぎ、後ろにさがる。
「おっと素直について来て頂けると助かります。こんな場所で元の姿に戻るのは忍びないのでね。」
「なっ…」
ここであの巨体のドラゴンさんになれば少なくともこの宿屋が倒壊する。
狡い、これがこの国の女王さんの命令なら許せない。
憤る僕にヴァルさんは顔を覗かせ頷く。
「コータ、イザベラの下へ行くぞ。ここら一帯に迷惑をかける訳にはいかないのである。」
「ヴァルさん……分かった。」
「話が早くて助かります。では、どうぞお乗りください。」
僕は悔しい気持ちを握りしめる拳に込めてなんとか飲み込み、王城へと連行される。
グリーストさんに連れられて行った先に待っていたのは、真っ赤な長い髪に勝ち気さがびしびしと伝わってくる赤い瞳をした女性でした。
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