女王国家ミストリア

変わらない人見知り


妖精王さん達の住まう谷を抜けて、僕達はミストリア王国の王都を目指している。

この国はどんな国だろうか。


事典で調べながら移動しよう。ついでにあと距離がどれくらいかも分かればいいな。

早速、検索。


ミストリア王国

・世界でも随一の魔法先進国。魔力保有量や技術といった魔法適性の高い者ほど褒め称えられる。その中でも魔導師と呼ばれる者達は精鋭といえる。

この国のおすすめは甘味、デザートです。

現在地からおよそ徒歩10日程。

私が復活する前に帰るなんてひどいですよー。あと、気をつけて下さいね。



えーと、要は魔法使いさんがいっぱいいる国ってことかな?

それよりも、やっぱり神様復活しちゃったんだ。一応、妖精さんのお家で会ったから王都では訪問しなくても良いよね。

あと最後の気をつけて下さいが妙に不安を煽る。道中の魔物に気をつけてとかであってほしい。


検索を終えて、このまま王都を目指す。

この道のりの間で出会ったのはスロウハート王国では見かけない魔物と乗り合い馬車だった。


魔物はミミズをでっかくして大きな口を開けたようなワーム。地面からウニョっと現れた時はヴァルさんと声にならない悲鳴をあげたけど、チビうささんが落ち着けと頬をぺんぺんしてくれたお陰でなんとか対処出来ました。大きなミミズが僕達に迫ってたのにチビうささんだけ楽しそうに笑っていた。僕らの中で一番胆力がある。


そしてあと1日くらいで到着ってところで、歩く僕らの横を2台の馬車が通り過ぎた。一つは荷物が大量に積まれ、もう一つは人が何人か荷台に乗っていた。

荷台に乗っていた人達とばっちり目が合ってしまった。しかも、合った人達は前に座る御者の人になんか話している。

そのまま行くかと思えば止まった。止まってしまった。

なんだろう…。

僕何もしてないよ。普通に歩いてただけだよ。


荷台に乗っていた人達の中から二人降りてきた。

一瞬だけ姿を見た感じサイデルの宿屋のおばさんと同年齢ぐらいのおじさんとおばさん。

敵意とか感じられないけど何の用でしょうか?


ビクつきながら少し下に俯く僕に優しく声をかけてきた。



要約すると、優しい人達でした。

子供が一人で魔物が彷徨く場所を歩いているのを心配に思い声をかけてきたそうです。

あありがとうございます、でも大丈夫です。

えっ、一緒に乗っていくといい?

いえ大丈夫です。ここらは危険?だ、大丈…あ、あの。



慌てて吃りながら断るも押し切られる形で同乗することになりました。

震えているのは魔物が怖いからじゃないですよ。


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