小話 ストーカー始動2
ストーカー会議はまだ終わらない。
まずは彼女達の想い人の行方。
情報は国外に出たのみ。よって、自身達の権限で動かせる全てを駆使して捜索することに。
但し穏便に。
先ほど隠密の中の過激派からの提案で世界中の冒険者ギルドに想い人の姿絵を公布して探すとあった。
それは良い考えと皆が思う前に提案者へ落雷が落ちた。
室内であるにも関わらず、死に至らない程度の威力で受けた者はピクピクと指先が動くのみ。
これには堪らず全員の背中が寒くなる。
誰かに伝えるよう大きな声で何処かに宣言。
「「私達は、正々堂々理性と節度を持って行動をする事をここに誓います。」」
お姫様や令嬢、そして受付嬢それぞれが片手を挙げて自身の名と共に宣誓していく。
それほど夢の中の出来事がトラウマのようだ。
穏便な作戦としてまずは東西南北の各国に隠密部隊を派遣していく。お姫様と令嬢は立場上、捜索には行けなく歯痒い顔をしている。
もちろん、ギルドの受付という立場の兎耳は捜索に参加する。受付職員を辞めればいいだけなので容易い。ギルドマスターが引き留めそうだけど多分容易い。
すぐにでも飛び出しそうな勢いだ。念の為、ララには護衛騎士のはずのディーが付けられた。俺の任務は護衛です、でも恋する#怪物__おとめ__#には届かない。
但し、捜査にあたって気を付けねばならない。決して発見しても無理に近付かない、まずは報告。
そう落雷は食らいたいものでもないし、好きな人に本気で逃げられるのは堪える。化物でも乙女心はあるからね。
こうして、円陣を組んで散開。
各隠密部隊が行動を開始する中、ウサ耳をピコピコさせる女性と騎士風のお兄さんは王都を出た辺りで立ち止まる。
「で、どちらに向かいますかい?」
お兄さんはもう諦めた様子で尋ねる。
しばらくウサ耳をあらゆる方向にピコピコさせたあと、ピタッと止まる。
その方角は西。
「西へ向かいましょう。」
「了解。理由は聞いても?」
妖艶に笑う彼女。
普段なら美しいと思うその笑みは何処かにいる誰かの背筋を凍らせるには十分な怖さがあった。
「乙女の勘です、ふふ」
もう一度、お兄さんはどうか見つからないでくれと祈りを捧げた。
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