王は夢から覚めて地獄を見る
僕とララお姉ちゃんはコークスの森に到着した。
森の入り口には数人の騎士さん達が佇んでいる。
あの人達が領主様の私兵の方々かな。
顔は見れないけど、簡単に会釈だけして先に進む。
すでに他の冒険者達はさらに森の奥まで進んでいるとの情報。
ありがとう、騎士さん達。
ただララお姉ちゃんに異常な敬礼をしていた。Aクラスってそれだけ凄いんだなぁ。
進んでいくと冒険者と騎士さん達が協力して数十匹もの魔物の群れと戦っている。
ララお姉ちゃんによると本命はまだ奥らしい。
確かにどんどん奥から魔物がこんにちわをしている。
これでは、奥に到達するまでに全滅しかねない。
「もう少ししたら領主様の騎士の第二陣が来る! それまでなんとかして戦線を維持しろー!!」
「「「おおー!!」」」
まだまだ増員が来るらしい。
それなら大丈夫。
「ララお姉ちゃん、ぼ僕達も戦いましょう!」
「ええ、第二陣が来るまで頑張りましょう。来たら、私達は更に奥に進みましょう!」
「わ、わかりました。道は僕が作りましゅ‥あ」
また大事なところで噛んでしまった。
ララお姉ちゃんが恍惚とした表情になり、動きのキレがまた一段と上がった。
拳も蹴りも全てが魔物を一撃で沈めている。
近くの冒険者も騎士さんも仲間なのに青ざめている。
ぼ、僕も負けていられないので風魔法でいくつか竜巻を作り、土魔法で作った沢山の棘を混ぜて魔物の所に突っ込ませる。
竜巻から弾き飛ばされ近くに落ちてきた魔物は棘が無数に突き刺さっていた。
(おい、あの2人やべぇぞ。)
(女帝はともかくあの少年も可愛い顔してやる事えげつねぇ‥)
(仲間でよかった。少し魔物に同情するよ。)
なんか周りが僕達から距離を置いている気がする。
ララお姉ちゃんの動きが激しいから危ないと思ったのかもしれない。
うーん、一向に数が減っていく様子はない。
少しずつは減っているとは思うけど、奥からまだ出てくるから実感が湧かない。
すると、後方から声がする。
「前線を維持している者達よ、よく頑張った! 私は領主クロード様の専属騎士のカルロスだ。我々も混ぜてもらうぞ!」
振り向くと、馬に乗った人達が数十人いた。どうやらやっと第二陣が来たんだ。
あのカルロスさんって人が指揮を務めているみたいだ。
カルロスさんがこっちを見た。正確にはララお姉ちゃんを。そして、近づいてくる。
「これはララ殿、お久しぶりです。」
「どうもお久しぶりでございます、カルロス様。」
どうやら知り合いみたいだ。
「ララ殿もいるのなら随分と心強いです。」
「ふふ、ありがとうございます。それでカルロス様達がいらっしゃったなら、こちらはお任せして宜しいですか?私達は先に進みます。」
「はい、お任せ下さい。ここも落ち着けばすぐに向かいますので。ところでそちらの少年も?」
顔は見れないけど、多分僕に顔を向けている。視線感じるもん。
「ふふ、この子コータくんはこう見えてとても強いんですよ。先ほどの竜巻は見ましたか?あれはコータくんがやったんですから。」
自分のことのように自慢する。
「ほう、それはまた心強い。ぜひ今度お話ししたいものですな。コータ殿無理はしないようにな。」
「は、はい!」
何故か頭を撫でられた。
カルロスさんは戻っていった。
それではいよいよ奥にいる王様に会いに行こう!
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