女帝が口実を手に入れた
ララお姉ちゃんとなし崩しに臨時パーティを組むことになった。どうしてこうなった。
僕と違ってララお姉ちゃんは終始にこにこでゴートンさんの横にいる。
そして、いよいよ作戦会議の時間。
結局、ギルドに残った冒険者は7割ほど。あとの3割は出て行った。それでも、こんなに残るとは思わなかった。それだけこの街に思い入れがあるんだね。
「残ってくれた者たち、感謝する。それでは今回の作戦を説明する。」
ゴートンさんは1度ここにいる皆を見渡し頭を下げる。ギルドマスターが頭を下げるなんて、それだけ危険が伴っているんだと思う。
「まず今回の討伐には領主様の兵も駆り出される。だから、戦うのはお前たちだけじゃないと思ってほしい。」
街の危機だし当然か。
「次にDクラス以下の冒険者達には街での防衛及び市民の誘導を行なってほしい。市民は前もって喚起するがそれでも残る者はいるだろうからな。そして、Cクラス以上の冒険者にはキングオーガ討伐のために森に入ってもらう。」
僕は森の中で魔物討伐だ。
街の人の誘導は緊張で固まる可能性があるから良かったぁ。
「どちらも重要な依頼だ。心してかかってほしい。最後に領主様から一つ。この防衛及び討伐が無事完遂したら酒を出すだそうだ。」
「「おぉーー!」」
呑兵衛さん達の士気が高まる。
「おし、決行日は2日後だ。それまでにしっかりと準備をするように、以上だ。」
ゴートンさんの手を叩く合図で解散となった。
決行は2日後かぁ、すぐに行くのかと思ったけど色々準備があるもんね。
僕はどうしよう。
「コータくん!」
「うわっ!」
またララお姉ちゃんは自然に横に立っていた。
心臓に悪いです。
「コータくん、2日後の討伐に向けてお互いの実力確認と連携も練習しておきませんか?」
「え?え?」.
「ほら私達パーティですしね。」
そう言って、有無を言わせず引き摺られる。
到着したのはコークスの森。
あれ、2日後の目的地だよね。
「え?あのー僕達は先に討伐を進めるんですか?」
「いえいえ、森の入り口付近でしかやりませんよ。そんな簡単にパーティ解散には持って行きません。ここなら私達には手頃な魔物ばかりでしょうから、確認作業にはもってこいです。」
なんだいきなりキングオーガに突っ込むのかと思った。
少し安心してララお姉ちゃんとの連携練習などを始めた。
ここでふと思ってたことを呟く。
「ララお姉ちゃんならAクラスだからキングオーガ倒せるんじゃ‥」
「いえいえ、幾ら何でも厳しいですよ。本来、キングオーガはAクラスパーティが複数で挑む相手ですからね。私のようなか弱い乙女では少々力不足です。」
ララお姉ちゃんはニコニコとゴブリンの頭を鷲掴みしながら言う。
あ、握りつぶした。
「しょ、しょうですか‥」
僕はララお姉ちゃんをか弱い乙女だと思い込むように心掛けます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます