なんだか森が泣いています
素材の鑑定が終わる2日後まで、街をぶらぶらする。
書物を扱う店を見つけた。
本当にこの街は広いと実感する。まだまだ知らない店は多い。
百科事典のおかげで魔物や魔法の情報は間に合っているので、この世界の英雄伝といった物語が綴られた本をいくつか購入。
これで、暇つぶしに使える。
そして、2日経過した。
素材の売却金を受け取りに倉庫へ向かう。
そっと覗くように中に入る。
どうやらララお姉ちゃんはいないようだ。
「よう、坊主ちゃんと来たな。」
ノルドおじさんが僕に気づいてこちらへやってくる。
「今回はBランクの魔物もいたし、合計で金貨8枚に銀貨65枚だ。凄いな、その若さでこんだけ稼ぐなんてよぉ。流石、期待の新人だな。」
ノルドおじさんはよくやったと言わんばかりに頭をぐりぐり撫でてくる。
少し痛い。
この街に来てから色んな人に撫でられてるような。
「あ、ありがとうございます。」
ノルドおじさんからお金の入った袋を受け取り収納庫に入れておく。
「お、そうだ。昼頃にギルドへ来るようにってララが言ってたぞ。」
ララお姉ちゃん一度来てたんだ。
「まあ多分、例の森の異変についてだろう。なんか分かったんだろうな。」
森の異変かぁ。
僕にはいまいち分からなかったけど、着実に何かが起きてるのかもしれない。
ノルドおじさんと別れて、お昼まで宿屋で、購入した本の続きを読み進めることに。この2日間の内に1冊を終盤まで読み込んでいた。
結局、英雄が魔物の王を倒してお姫様と結婚するというよくある物語だった。
どこの世界でも似たような話は生まれるんだな。
やっと読み終えたところでもうお昼。
残りの本はまた少しずつ読んでいこう。
冒険者ギルドに行く。
既に多くの冒険者達でギルド内は溢れかえっていた。
うぅ、吐き気が‥。
帰るわけにもいかないので、比較的人の少ない隅っこで大人しく待つ。
しばらくして奥からギルドマスターのゴートンさんが出てきた。側にはララお姉ちゃんが僕に向けて手を振っている。
なんですぐに僕の居場所が分かったんだ?
ギルドマスターの登場でギルド内は静かになった。
みんな何が起きたか知りたいんだ。
「おい、みんな。よく集まってくれた。さて、少しは知っている者も居ると思うがここ最近コークスの森及びその近辺の様子がおかしい。」
「そうだ!俺はあの森でCランクのオーガに遭ったぞ!」
「俺もだ!」「私も!」
口々に冒険者が声を上げる。
それをゴートンさんが手で制す。
「分かっている。現在あの森にはBランクの魔物も目撃されている。そこで俺達は調査をした。そしてSランクのキングオーガが奥に潜んでいることが判明した。多くの上位ランクの魔物共を束ねてな。」
「嘘だろ‥。Bランクの魔物でも1パーティで倒せるかどうかなのに、魔物の群れだって‥」
ギルドにいる人達の殆どが森に隠れている絶望に表情が暗くなっている。
ララお姉ちゃんは相変わらずニコニコ笑っているけど。
「お前たちの気持ちも分かる。だが、誰かが奴らをどうにかしなければならない。そこで緊急依頼を貼り出す。内容はキングオーガ討伐及び街の防衛だ。逃げたい者は逃げていい。受ける者はここに残ってくれ。」
冒険者はそれぞれ自分のパーティメンバーと相談をし始めた。
ふー、僕はどうしよう‥。
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