小話 ドコ?ドコニイルノォ‥9


ソフィア様と協定を結んだ帰り道。


最近の王都での恒例行事、コータ様探しを始める。

大人数だと混乱を招く可能性もあるので、私とカルロス様と騎士2名、そしてディーと騎士3名で二手に分かれて捜索することに。隠密部隊にも忘れずお願いをする。

ちなみに、カルロス様には王都に向かう途中で私の真の目的がバレてしまいましたが、少しのお叱りで許して頂きました。


「それでは、みんな頑張って探しましょう!」


「お嬢、この人の数から目当てを探すのはちと厳しいですぜ」


「こらディー、言葉遣い!」


カルロス様が叱る。


「そうね、ディーの言う通りこの人混みの中から見つけ出すのは至難の業でしょう。でも、やらないよりも僅かな可能性にでも賭けたいの。」


そうよ、可能性はゼロじゃない。


「はぁ、しょうがないっすねー。よーし、お前ら探しに行くぞ。」


ディーは騎士を引き連れ行動を開始した。


「ったく、ディーのやつは。アリシア様申し訳ございません。」


「良いのです、カルロス様。私達も探しに参りましょう。」



そして、まずは彼が立ち寄りそうな冒険者ギルドを少し覗いてみた。

以前、来た時はもっと賑やかでしたのにとても静かでしたわ。謎の壁画もありましたし。

思わずカルロス様と首を傾げてしまいましたわ。


ギルドにもいない様子でしたし、武器屋など他も探してみる。




結局、見つかることなくディー達と合流。


ディーの方も芳しくなかった模様。


はあー、会いたいと思うのにいつもすれ違いばかり。

神様が運命を捻じ曲げてるとしか思えませんわ。


ディーは落ち込む私を見かねて、何か食べ物を買ってくるとのこと。

そうね、食欲で紛らわしましょう。



「お、お嬢!こっちにこっちに!」


唐突にディーが叫ぶ。

私とカルロス様は何事かと声のする方へ顔を向ける。


「お嬢!こっちに例の少年が!」


な、な、な‥


「なんですってぇー!!」


私は次々と目の前に立ち塞がる肉壁を避けつつ、ディーのもとへ急ぐ。




ようやく到着。

少年は?コータ様はどこ?


「ディー!コータ様はどこ!」


「お、お嬢‥それが俺がお嬢を呼んでいる隙に逃げられてしまいやした。」


「え?」


「そ、しょの‥逃げられてしまいました。」


「え?」


「も、申し訳ございまぐぅ!?」


私はいつのまにかディーの鳩尾に拳を埋めていた。



「う、うおおおおーーん!!」


「アリシア様!?お、おいディーしっかりしろおぉー!!」




王都の中心で私とカルロス様の雄叫びと悲鳴が上がった。





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