小話 お嬢と姫さんと女帝



俺は目を覚ました。

確か件の少年コータだったか、そいつを見つけたけど逃してお嬢に説明して‥くそっ、そこからの記憶がねぇ。

もしかして、あの後酒でも飲んだっけか?



ここはどこだ?

お嬢の屋敷ではないなぁ


立ち上がろうとしたが無理だった。

正座の形で両手足をとても立派な鎖で縛られている。


本当に何が起きているんだ!


もしかして、お嬢の身に何か‥


「ディー、やっと起きたのね。」


目の前から知ってる声と3つのシルエットが出てくる。


次第にはっきりしてくる。


1人は俺の主アリシア様だ。

そしてもう1人は‥ソフィア王女!?

なんでここに‥


そして、最後の1人はサイデルの冒険者ギルドの受付嬢ララちゃんじゃねーか。



「な、な、これは‥」


「ふふ、驚いているわね。私達はある一つの共通の目的を持つ同志達ですわ。」


「そうです。そんな私達に不幸な情報が入り込んで来たのです。」


「私は別に2人と協定を結んでいる訳ではないですが、伺った情報が情報だけにご一緒することにいたしました。」


それぞれが次々と口を開く。

もう訳が分からん。

俺はなんで縛られているんだ。


「ふふ、まだ分からない様子ね。じゃあ、優しく説明してあげるわ。」


なんでか優しく説明するというお嬢の目が笑っていない。


「ディー、あなたはコータ様を発見したわ。でも、逃したわね。そこまではまあしょうがないわ。でもね、ソフィア様がこっそりとコータ様につけていた監視から王都を出たと情報をもらったの。」


な、なんだ震えが止まらん。


「どうもね、あなたのおかげで王国から捜索がかかっていると勘違いされて急いで脱出されたのよ。ねえディー、私今度こそ会えると思ったの。」


お嬢が俺の頭にそっと手を置く。


「私も今度は穏便にと計画を立てていましたの。」


姫さんが、俺の左頬にそっと手を添える。


「私も偶然を装って王都デートしようと思っていました。」


ララちゃんが、俺の右頬にそっと手を添える。


ああ、なるほど。

俺は逆鱗に触れたのか、最も触れてはいけない3匹の化け物の。


理不尽じゃね?



「「「オマエコロス、ユルサン」」」


ミシミシと伝わる命のタイムリミット。




この日、1人の青年が星になった。

控えていた騎士たちは、彼を想い夜の空に向けて敬礼した。




あ、俺生きてますよ



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